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 産業技術総合研究所とNTTネオメイトは,顧客の個人情報などの漏洩を防ぐことを目的としたデータの分散保管技術を共同開発した。氏名,住所などの情報を文字単位で並べ替えて意味を成さない文字列を生成する。その文字列を一定容量ごとに切り分けて物理的に離れたファイル・サーバにバラバラに保管する。保管場所に関する情報は暗号化してセンターとなるサーバで管理するため,第三者がデータを復元することは難しい。コール・センター業務を請け負うJBMコンサルタントが顧客の個人情報を管理するために2005年6月から運用を開始するという。

 JBMコンサルタントが導入するシステムは,NTTネオメイトが運用する通信網「AQStage IP-VPN」と顧客情報を一時的に保存するデータベース・サーバ,バラバラにしたデータの保管場所情報を管理するメタ・サーバ,分割したデータを保存するファイル・サーバを利用する。データベース・サーバとメタ・サーバは京都市のデータ・センターに備える。ファイル・サーバは京都府内の3カ所にあるNTTの電話局に設置するという。JBMコンサルタントのコール・センターには顧客情報を保存しない。毎日の始業時に各ファイル・サーバに分散して保管しているデータをデータ・センターのデータベース・サーバに集めて復元する。10万件の顧客情報を復元するのに数分かかるという。コール・センターからはこのデータベース・サーバにアクセスして顧客情報を閲覧する。

 顧客の注文状況をデータベースに書き加える際などコール・センター側からデータを変更する場合は,逐次更新しファイル・サーバに分散して保存していく。災害などの障害に備え,断片化した文字列は異なる2台のファイル・サーバを使って二重に保存する。

 今回のシステムの基になっているのは,産業技術総合研究所 グリッド研究センターが開発した「Gfarm」と呼ぶフリーのファイル管理ソフトウエアである。当初,同ソフトウエアは素粒子実験などの「P(ペタ)バイト」級のデータを扱う学術研究に向けたものだった。NTTネオメイトとの共同研究により,同ソフトウエアのオプションとして,情報の並べ替えと,保管場所情報の暗号化の機能を付け加えた。閲覧者による情報漏洩のほか,サーバの保守点検や廃棄に伴うハード・ディスク装置からの情報漏洩を防げるという。共同研究は今後も継続する予定。2005年度には復元時間を100万件で1時間未満にすること,コール・センター以外の業種にも適応することなどを目標としている。

データベースは「CRM(customer relationship management)サーバ」で分割,復元を行う。
データベースは「CRM(customer relationship management)サーバ」で分割,復元を行う。
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