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NECの的井氏。「3Gの比率が高まってくる国内市場で,市場シェア1位をキープしたい」
NECの的井氏。「3Gの比率が高まってくる国内市場で,市場シェア1位をキープしたい」
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515億円の営業減益のうち,「ネットワークソリューション」部門は414億円,「エレクトロンデバイス」部門は171億円。「ITソリューション」部門は105億円の営業増益であった
515億円の営業減益のうち,「ネットワークソリューション」部門は414億円,「エレクトロンデバイス」部門は171億円。「ITソリューション」部門は105億円の営業増益であった
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2004年度の端末出荷台数は,国内が790万台,海外が520万台。2005年度はHutchison 3G社以外の海外3Gへの出荷開始を算入した予測となっている。中国市場向けの3Gは,依然商用化の時期が不透明なため盛り込んでいない
2004年度の端末出荷台数は,国内が790万台,海外が520万台。2005年度はHutchison 3G社以外の海外3Gへの出荷開始を算入した予測となっている。中国市場向けの3Gは,依然商用化の時期が不透明なため盛り込んでいない
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 NECは,2004年度(2004年4月~2005年3月)の連結決算を発表した。売上高は4兆8551億円(対前年度比1%減),営業利益は1312億円(同28%減),税引前利益は1157億円(同28%減)の減収減益となった(発表資料)。持分法適用会社のエルピーダメモリの上場(Tech-On! 関連記事1)に伴い250億円の特別利益を計上したため,純利益は同65%増の679億円を記録している。

 併せて発表した2005年度(2005年4月~2006年3月)の連結業績予想では,売上高が5兆円,税引前利益が1300億円,純利益が600億円。売上高は対前年度比3%増だが,NEC三菱電機ビジュアルシステムズの100%子会社化(同 関連記事2),アビームコンサルティングの連結組み入れなどが反映されたものであり,実質的には横ばいという。

携帯出荷台数は予想より240万台減,「N700iの出荷遅れが誤算」

 事業部門別では,通信関連を扱う「ネットワークソリューション」部門が不調だった。売上高は対前年度比7%増の1兆8920億円となったが,営業利益が前年度の679億円から265億円へ大幅に減少した。携帯電話機事業が250億円の営業損失を計上したことなどが響いた。2004年度の携帯電話機の出荷台数は1310万台と,前年度の1550万台から240万台減少した。期初予想は1900万台だったが,中間決算発表時に1500万台(同 関連記事3),第3四半期決算発表時に1450万台(同 関連記事4)と下方修正を繰り返し,第4四半期でさらに落ち込みを見せた。この原因について同社 取締役 執行役員常務の的井保夫氏は「NTTドコモ向けの第3世代携帯電話(3G)端末である『FOMA N700i』の出荷が,予想より遅れたことが響いた」と説明している。

 同社は携帯電話機事業の収支改善に向け,既に複数の対策を実施している。具体的には,(1)米QUALCOMM Inc.やスウェーデンEricsson Mobile Platforms(EMP)社のベースバンドLSIの採用(同 関連記事5),(2)端末の組み込みOSにLinuxを採用することによる開発コスト低減(同 関連記事6),(3)携帯電話機開発業務に対するプロジェクト管理ノウハウの適用(同 関連記事7),(4)無線LANやGSMなどの機能を盛り込んだFOMA端末の開発(同 関連記事8),(5)香港Hutchison 3G Ltd.以外の海外3G事業者に向けた端末出荷,などである。これらの施策により2005年度は,同事業で50億円の営業利益確保を目指す。携帯電話機事業に対する2005年度の開発投資額は約100億円。NECエレクトロニクスと共同で展開しているHSDPA方式のベースバンドLSIの開発や,いわゆる1セグメントの地上デジタル放送の受信機能を備える携帯電話機の開発などに向ける。

 2005年度の携帯電話機出荷台数見込みは対前年度比15%増の1500万台。うち国内向けが約900万台,海外向けが約600万台である。同社では国内向け出荷の9割が3G端末になるとみている。中国向けのGSM端末の出荷台数は,2004年度の200万台から2005年度は300万台に増加すると見込む(同 関連記事9)。

 携帯電話機以外のネットワークソリューション部門は堅調だった。無線設備関連では,上半期にNTTドコモがパケット定額制を導入したことに伴い受注が増加,下半期はマイクロ波通信システム「パソリンク」の引き合いが増加した。2005年度は海外3G事業者に向けた基地局などの出荷を進めていく考えで,同部門の2005年度の売上高は横ばいの1兆8900億円,営業利益は対前年度比89%増の500億円を見込む。

情報システムは堅調,「SIが利益率8%まで回復」

 法人向けの情報システムやパソコンなどを担当する「ITソリューション」部門は増収増益を記録。売上高は2兆1444億円(対前年度比2%増),営業利益は1023億円(同14%増)と1000億円の大台を超えた。中でも,システム構築関連のサービス事業が約700億円の営業利益を計上し,営業利益率で8%を記録するなど好調である。前年度の同事業の営業利益は約530億円,営業利益率は7%だった。「2002年度は同事業の営業利益率が10%を超えていた。そのころに比べるとまだ及ばないが,堅調なIT投資に支えられ回復してきている」(同社の的井氏)。

 同社はITソリューション部門の事業強化に向け,アビームコンサルティングへの出資や,NECソフトとNECシステムテクノロジーの100%子会社化などを進めている。「ハードウエアだけでなく,ソフトウエア開発まで含めたITソリューション部門全体の効率化を図る」(同社の的井氏)ことで,さらなる営業利益率の向上を目指す。2005年度は売上高2兆2000億円(対前年度比3%増),営業利益1150億円(同12%増)を目指す。

 2004年度のパソコンの出荷台数は,前年度の270万台に対し273万台とほぼ横ばいだった。2005年度は290万台の出荷を見込む。

 電子部品などを担う「エレクトロンデバイス」部門の売上高は8687億円(対前年度比7%減),営業利益は372億円(同31%減)と振るわなかった。主力子会社のNECエレクトロニクスが,液晶ドライバICや携帯電話機向けシステム・メモリの売り上げ減に見舞われたことが大きい(同 関連記事10)。2005年度については,「半導体市場は第1四半期で底を打ち,下半期にかけて回復していくだろう。通信機器向けやコンピュータ向け半導体は厳しい状況が続くが,民生機器向け半導体,汎用8ビット・マイコン,自動車向け半導体などは堅調に推移する」(NECの的井氏)とみており,売上高は8800億円(対前年度比1%増),営業利益は300億円(同19%減)を見込む。

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