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 米Intel Corp.は,遮断周波数が10.2GHzの光変調器をSOIウエハー上に形成した(発表論文)。データ伝送容量は6Gビット/秒~10Gビット/秒という。2004年2月に同社が論文発表した多結晶Siを使う光変調器と比較して,遮断周波数で4倍,データ伝送容量では2.5倍の性能向上を実現した(関連記事)。同社は,レーザなどの発光素子,光変調器から導波路,受光素子までをSiで実現する「Siフォトニクス」の研究を推進中である(関連記事)。

 今回Intel社が開発したのは,2004年2月に発表したものと同じMOS(metal-oxide-semiconductor)キャパシタを2つ利用するMach-Zehnder干渉計(MZI)型の光変調器である。変調器全体の長さは,スプリッタなど込みで15mm。駆動に利用するドライバ回路の電源電圧は,+3.3V~+3.9Vである。最大10Gビット/秒という伝送容量は大きいが,振幅変調時の信号のコントラストを示す消光比は3.8dBで,実用レベルにはまだ遠い。また,伝播損失も10dBと大きい。

導波路を多結晶Siから単結晶Siに

 1年前から大きく変更したのは,(1)導波路となる部分が従来は多結晶のp型Siであったのに対し今回は単結晶のp型Siにした,(2)導波路の断面を従来の2.5μm×2.3μmから,1.6μm角とするなど,MOSキャパシタ全体の微細化を進めた,などの点である。従来,導波路で利用していた多結晶Siでは,光の伝播損失が大きく,ドーピング濃度も十分上げられなかった。今回は「ドーピング濃度を従来に比べて非常に高くできた」(同論文)という。導波路などの微細化を進めたことと合わせて,変調器としての効率向上,光の信号劣化の減少などにつながったという。変調器の効率が上がれば,代わりに長さを短くすることが可能になり,遮断周波数を決める変調器の電気抵抗RとキャパシタンスCの積の値を小さくできるという利点がある。導波路部分の単結晶Siは「エピタキシャル横方向成長(epitaxial lateral overgrowth:ELO)」と呼ぶ結晶の成長方法で形成した。

【訂正】
本記事で当初,2004年2月にIntel社が発表した光変調器を「バルクSiを使う光変調器」と記載していましたが,正しくは「多結晶Siを使う光変調器」でした。記事は既に修正してあります。お詫びして訂正いたします。