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中村氏。FeliCa関連事業での収益確保や三井住友カードへの出資など,新たな事業モデルの構築には「もう少し時間がかかる」とコメント
中村氏。FeliCa関連事業での収益確保や三井住友カードへの出資など,新たな事業モデルの構築には「もう少し時間がかかる」とコメント
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 NTTドコモは,2004年度(2004年4月~2005年3月)の連結業績を発表した。売上高は4兆8446億円(対前年度比4%減),営業利益は7842億円(同29%減)と,期初予想通り減収減益を記録した。割引サービスによる実質値下げなどが響き,1992年の会社設立以来初めての減収減益となった。

 ただし,年度末に投入した低価格帯の第3世代携帯電話(3G)端末「FOMA 700iシリーズ」などが寄与し,2005年2月28日に発表した連結業績予想を,売上高で246億円,営業利益で152億円,それぞれ上回る結果となった。米AT&T Wireless Services, Inc.の売却益として税引前損益ベースで5018億円を計上しているため,税引前利益は同17%増の1兆2882億円,純利益は同15%増の7476億円となった(発表資料)。

 同社は併せて,2005年度の連結業績予想を発表した。売上高は4兆8050億円(同1%減),営業利益は8100億円(同3%増),税引前利益は8120億円(同37%減),純利益は4970億円(同34%減)。2004年度に引き続き値下げによる減収を予想しているが,不採算のPHS事業を一括償却するなど,事業再編による効果を織り込み,営業損益ベースでは増益を見込む。

解約率は1.01%まで低減

 2005年3月末現在の契約数は,FOMAが1150万契約,PDC方式の「mova(ムーバ)」が3732万契約,コンテンツ・サービス「iモード」が4402万契約と,いずれも期初予想を上回った。「純増数に占めるNTTドコモのシェアが,前年度の36.5%から48.7%へ拡大した。(PDCなど従来方式から)FOMAへの移行が予想以上のペースで進んだ」(NTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏)。解約率も前年度の1.21%から1.01%へ低減した。四半期ベースでは,第3四半期に0.95%,第4四半期に0.96%と,1%を切る水準を記録している。

 一方で1契約当たり月額平均収入(ARPU)は7200円と前年度の7890円から下落し,期初予想の7270円も下回った。ARPUのうち音声通話分は5330円,パケット通信分は1870円。FOMAのARPUは9650円(音声は6380円,パケット通信は3270円),movaのARPUは6800円(音声は5160円,パケット通信は1640円)。前年度はそれぞれ1万280円,7830円だった。同一世帯で複数台利用するユーザーに対する「ファミリー割引」の割引率拡大や,FOMAのパケット通信の定額制サービス「パケ・ホーダイ」の導入により,採算性が悪化している。従来はARPUの高さを誇っていたFOMAも,「契約数の増加に伴い,利用頻度の少ないユーザーも増加しており,全体としてARPUを低下させる要因となった」(同社 常務取締役 財務部長の宇垣義昭氏)。

2005年度,FOMA端末は2410万契約を目標

 2005年度は対前年度比で減収となる一方,営業損益ベースでは258億円の増益を見込む。2004年度に604億円計上したPHS資産の減損処理が2005年度はなくなるものの,「割引施策に伴う減益要因として900億円を見込む」(宇垣氏)としており,楽観を許さない状況である。増益に向けた取り組みとして同社では「国内メーカー,海外メーカーの双方から低価格のFOMA端末を調達し,FOMA端末の売上原価を低減させる。併せて,販売代理店に対するインセンティブの削減,基幹網のIP(internet protocol)化,販売店や物流拠点の見直しなどで営業費用を削減していく」(中村氏)という。

 同社は2006年3月末時点で,FOMAの契約数を現在の2倍以上の2410万に引き上げることを見込む。movaの契約数見込みは2660万,iモードは4620万としている。ARPUは6770円(音声は4990円,パケット通信は1780円)と,引き続き低下を予想している。FOMAのARPUは8550円(音声は5700円,パケット通信は2850円),movaのARPUは5800円(音声は4600円,パケット通信は1200円)である。

 設備投資は,2004年度の実績が8615億円,2005年度の見込みが8480億円である。いずれも,大半をFOMAの基地局増加と容量増大に充当する。「2004年度,2005年度とも,当初は8000億円程度の設備投資を見込んでいたが,FOMA契約数の増加に合わせて,それぞれ500億円程度上乗せした。基地局の増強に向けた設備投資は今後も続けていくが,FOMAの基地局網構築に向けた大規模な設備投資は,2005年度でひとまず完了するだろう」(中村氏)。

 新規技術に対する開発投資では,「(3Gの高速データ通信規格である)HSDPAについて,2005年度末までに開発を終え,2006年度からサービスを開始する方向で準備している。1セグメントの地上デジタル放送サービスの対応端末も,現在開発を進めている」(中村氏)と明らかにした。ただし,開発投資の具体額については「それほど多くない」(中村氏)と述べるにとどまった。

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