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 船井電機が2004年度(2005年3月期)の連結決算を発表した。売上高は前期比12%増の3830億円,営業利益は同じく8.7%減の333億円で,営業利益率は8.7%だった(図1)。営業利益率は前期と比べて2ポイント低下したものの,依然,高収益。北米の流通大手Wal-Mart Stores社向けにDVD関連商品の販売台数が増加し,米Lexmark International社にOEM供給するインクジェット・プリンターの複合機(複合プリンター),デジタルカメラの販売が拡大した。減益の主因は「原材料のコストアップ」(同社)。純利益については257億円と前期比2.1%減となったが,これは「低金利とペイオフ解禁の中,現金預金を銀行に預けていても仕方がないため,有価証券の購入やDVD関連製品向けの設備投資,特許権の購入の費用に回した」(同社)ことが理由。


図1◎船井電機の売上高と製品(機器)別の構成比。売上高は12%伸びた。

 製品別の売り上げ状況を見ると,DVDプレーヤー関連製品は価格下落が激しかったものの,販売数量を大幅に増やすことでカバーし,売上高を前期比25%伸ばして1426億円とした。インクジェット・プリンターは同じく30.9%増の899億円,プロジェクターは同じく83.9%増の171億円,液晶テレビ受像機は同じく97.4%増の75億円を計上した。

 こうしたデジタル家電の販売が伸びる半面,アナログ家電は落ち込んだ。ビデオの売上高は前期比34.2%減の158億円,ビデオ内蔵型テレビ受像機(テレビデオ)は同じく51.3%減の127億円となり,アナログ家電からデジタル家電への売り上げのシフトが鮮明となった。

 売り上げを地域別見ると,最も伸びたのが北米市場で前期比330億円増となった。次いで,日本を除くアジア市場が同じく44億円の増,欧州市場が同じく74億円の増となった。ところが,日本市場は売上高が前期比39億円減と足を引っ張った。バックライトや部品関係が振るわなかったためという。

 同社は2005年度(2006年3月期)の連結業績の見通しも発表した。売上高は4200億円,営業利益は360億円,純利益は264億円。前期と比べてそれぞれ,9.7%,8.0%,2.6%に増加する。営業利益率は8.6%を見込む。

 決算説明会の席上,同社代表取締役社長の船井哲良氏は「当社は勝ち組でも負け組でもない」と主張した(図2)。その真意について同氏は「中国,台湾,韓国メーカーの台頭に加えて,IT企業がデジタル家電市場へと攻め入り,製品サイクルの短縮化と急激な価格下落が起きている。この混沌とした業界の競争環境においては,負け組と勝ち組の入れ替わりが激しく,いつ負け組に転落するか,逆に勝ち組に浮上するか分からない。数年はこうした状況であり続ける」と語った。


図2◎船井電機社長の船井哲良氏。「当社は勝ち組でも負け組でもない」と評価。

 こうした厳しい競争環境に対し,今後,船井電機は製品のデジタル化を進め,続いてネットワーク化へと歩を進めていく計画。そのために,「選択と集中」と産学連携,M&Aにより,必要な技術力と知的財産権の強化を図る。具体的には既に,三菱電機とDVDプレーヤー/レコーダーに関して協業を決め,トムソングループから対価を払ってデジタルテレビ受像機に関する基本特許を譲り受けた。加えて,京都大学と次世代光ディスクシステムのピックアップ装置を共同開発する契約を,電気通信大学とはデジタル情報家電のネットワーク技術に関する産学連携包括協定を結んだ。従業員のインセンティブを高めるために,技術者に対する職務発明の報奨制度を改定した。

 2005年度に同社が狙う新製品は,複数の機能を1台に集約させた「複合商品(ハイブリッド商品)」。「HDD内蔵型のDVDレコーダー(ハイブリッドレコーダー)と,HDDとVHSとDVDレコーダーとを組み合わせた『3 in 1』の製品を2005年の8~9月に発売する」(船井氏)。さらに「HDDを使った携帯型オーディオや,携帯型のテレビ受像機など,音と映像を融合させた製品の展開を考えている」と船井氏は言う。

 興味深かったのは,投資効率を高めるための戦略。同社は今後力を入れる分野としてデジタルカメラ事業を選択したが,この分野で投資効率を高めるために,「現在業績が低迷するデジタルカメラメーカーから人(技術者)を取り込むことも検討するかもしれない」と船井氏は語った。いわゆる「負け組メーカー」から技術者を取り込んで技術力を高めることで投資効率と企業価値を向上させるという考えだ。

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