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 携帯電話機の生産台数は,世界規模で見ると2004年まで2年連続で対前年比20%増を超える成長を遂げたが,2005年は同7%台に鈍化しそうだ(図1)。

 実は2004年の生産台数が2割増以上で成長すると予測した関係者は少なかった。いわゆるBRICs(ブラジル,ロシア,インド,中国)に代表される有力新興国で携帯電話サービスの新規加入が増加したことや,欧州での買い替え需要が増加したことが,予測を大きく上回った原因である。

図1●携帯電話機の世界生産台数の推移(主要コンポーネントの供給状況を基に日経マーケット・アクセスが集計・予測)

 このことはGSM方式の携帯電話機の生産台数が,グラフからもわかる通り,依然高い成長を続けていることからも裏付けられるだろう。欧州で主流のGSM方式は,世界で最も普及している通信方式で,端末だけでなく,基地局コストが他の方式に比べて最も安い。いずれW-CDMAへの移行が進むだろうが,当面GSM端末の需要は根強そうだ。

 基地局向けの部品を供給している電子部品メーカーによると,GSM基地局向けの部品出荷は依然好調だと言う。GSM方式の利点は,加入者が多いために基地局と端末のコスト・ダウンが他の携帯電話サービスよりも容易なことに尽きる。基地局が安く設置できるので新興国で導入しやすい。それが加入者増につながるという好循環が続いている。

 日経マーケット・アクセスは2005年のGSM端末の世界生産台数を4億7400万台と予測している。2006年には5億台に達する可能性も見えてきた。通信方式別の端末メーカーの世界シェアを2004年で見ると,GSM端末ではフィンランドのNokia社が断然トップで約40%を占めた。

生産の7割はすでにカラー液晶機,2005年は78%と予測

 端末ハードウエアから見るとカラー液晶やカメラ付き機種が買い替え需要を促進した面が大きい。特にカラー液晶搭載機は,生産台数が2003年に対前年比193.6%増と爆発的に伸びたが,2004年も同70.2%増と拡大し4億4672万台に達した。世界の携帯電話機全体に占めるカラー液晶搭載比率は一段と上昇し,2003年の48.8%から68.8%になった。

 2005年も引き続きカラー液晶搭載機の比率が上昇するのは間違いない。ただ,新規加入が伸びているBRICsの中国を除く3カ国や今後需要が伸びる新興国は,価格が安いモノクロ液晶搭載機が主流である。しかも,欧州市場でも2004年秋の段階でモノクロ液晶搭載機が販売台数で上位にランキングされるなど,日本市場のようにほぼ100%がカラー液晶搭載機になってしまうということはなさそうだ。

 日経マーケット・アクセスは2005年の世界のカラー液晶搭載機の生産台数を5億4162万台,カラー比率を77.7%としたが,携帯電話機の普及途上にある新興国向けにモノクロ液晶搭載機の需要が根強く残ると,出荷台数ベースでもう少しカラー比率が低くなる可能性はある。

 携帯電話機に搭載される液晶パネルの生産量を,低価格・低消費電力を特徴とするパッシブ方式(STN)と,高画質が売り物のアクティブ方式(TFT,TFD,低温多結晶シリコンTFT,CGSなど)に分けて見ると,2004年はパッシブ方式の方が多かった。しかし,液晶パネル・メーカーの競争激化から,アクティブ方式の価格が下がってきたこともあって,「端末メーカーからアクティブ方式の需要が急増してきている」(パッシブ,アクティブ両方を手掛ける液晶パネル・メーカー)。このため2005年はアクティブ方式の方が多くなる見込みだ。