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 東京特殊電線と上田日本無線は双方向通信が可能なアクティブ型無線タグ(RFIDタグ)システム「MEGRAS(メグラス)双方向」を開発した。無線タグからリーダー/ライターにIDを送信するだけでなく,リーダー/ライターから無線タグに情報を伝送することができるのが特徴である。無線タグと小型スピーカを組み合わせることで,無線タグの位置を正確に把握できるようにした。アクティブ型とは電池を搭載した無線タグのことで,無線タグが定期的に電波を発する。開発した東京特殊電線 RFIDソリューション・ユニット 参事の太田良幸氏に開発に至った経緯やユーザーの動向,今後の開発計画について聞いた。(聞き手=日経エレクトロニクス・伊藤 大貴)

——今回開発したシステムの特徴について教えて下さい。
太田
 特徴は双方向通信が可能な点です。従来,アクティブ型の場合無線タグの発する電波をリーダー/ライターで検出するというものはありましたが,リーダー/ライターから無線タグにデータを送信するといったシステムはありませんでした。アクティブ型無線タグは自身に電池を搭載するため,どうしても使用年数に限りがあるためです。双方向通信をうたうアクティブ型無線タグはこれまで存在しなかったのはこれが理由です。

 そこで当社は無線タグの低消費電力化に取り組みました。その結果,双方向通信でも従来と同程度の小電力を実現し,例えば5秒間隔で電波を発信して約1年は動作が可能となりました。

——低消費電力化を図るためにどういった工夫を施したのでしょうか。
太田
 マイコンが持つスリープ・モードを使っています。今回開発したシステムの場合,5秒に1回無線タグからリーダーに対して電波を発信しています。電波を発しない間はマイコンをスリープ・モードに切り換えてしまうわけです。動作モードとの切り替えを正確に実行するために通常は使用しないリアルタイム・クロックICを実装しました。

 ただし,完全にスリープ・モードに切り換えているわけではありません。リーダー/ライターからデータを受信する場合もありからです。そのため,無線タグはスリープ・モードを保ちつつもリーダー/ライターに対して応答できる状態を維持している必要があります。具体的な制御方法については現在,特許申請中であるため,詳細を明かすことはできません。

——どのようなユーザーを想定しているのでしょうか。
太田
 デジタル家電や自動車など様々な製造業を想定しています。実はこうした現場から無線タグを使ってモノを管理できないかという話をよく聞きます。例えば,多品種少量生産をうたう製造メーカーにとって在庫管理はとても重要です。

 製造現場のIT化は進んでいるように見えますが,実はこうした在庫管理の現場では四半期毎に棚卸しをして在庫を確認するといった具合に,おおよそIT化とは程遠いのが現状です。在庫管理を効率化するために無線タグに注目が集まっているわけです。

——双方向通信はなぜ必要なのでしょうか。
太田
 無線タグの発する電波をリーダーで受信するだけの単方向通信の場合,リーダーの周囲に無線タグがあることは分かっても正確な位置までは特定できません。その点,当社が開発した無線タグ・システムの場合,無線タグと小型スピーカを一体化しているので双方向通信であれば,リーダーから何らかの信号を送信して,無線タグを動作させることができます。

 これによって無線タグの正確な位置を特定できるわけです。もちろん,ある領域内に無線タグが存在することさえ把握できれば,正確な位置特定は必要がないという使い方も考えられます。こうした用途に対しては単方向のアクティブ型無線タグで対応することになります。  
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