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図◎完成車の組み立てラインの最終工程を流れるクルマ。すべての部品を組み付けた後,検査工程に搬送される。
図◎完成車の組み立てラインの最終工程を流れるクルマ。すべての部品を組み付けた後,検査工程に搬送される。
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 ホンダは2005年6月16日,同社が「マザー工場」と位置付ける埼玉製作所狭山工場を報道陣に公開した。前回はエンジンの生産ラインと,ボディーの生産ラインの溶接工程までを紹介した。その続きを報告する。

 狭山工場のボディーの生産ラインのうち,射出成形工程では,パンパやインスツルメント・パネルなどの樹脂部品を成形する。今回同社が公開した工程では,4台の射出成形機が「フル稼働」(本田技研工業埼玉製作所事業管理部総務課主幹の上野邦明氏)し,同工場で生産するクルマのボディーに組み付けるバンパに加えて,一部パーツとして同社が販売するバンパを成形していた。また,射出成形機からワークを取り出す作業には安川電機製のロボットを使っていた。
 
 プレス工程と溶接工程を経たホワイトボディーと,射出成形工程で加工された樹脂部品は,それぞれ治具でつり上げられて2階に搬送される。2階には塗装工程があり,例えばホワイトボディーには,まずディッピングによる電着塗装で下塗りした後,中塗り,上塗りを経てワックス防錆処理を施す。同社はこの工程も自動化しており,溶接工程を2階に設けることで工場の空間を有効活用している。
 
 塗装して乾燥後のボディーと樹脂部品は,再び1階に降りてきて(3)の完成車の組み立てラインに投入される(注:(1)はエンジンの生産ライン,(2)はボディーの生産ラインであることを前回の記事で触れた)。このラインでは,その名の通り,内装部品やフロントガラス,リアガラスなどをボディーに組み付けてクルマを製品として仕上げていく。興味深いのは,作業員の仕事のしやすさを考えて,ベルトコンベヤに流す前にボディーからドアを取り外してしまうこと。溶接から塗装までは効率を重視してドアをボディーに一体化させたまま処理する。ところが,完成車の組み立てラインでは作業員がボディーの中に入り込んで内装部品の取り付けを行う。そのため,あらかじめドアを外しておき,最終工程でドアをボディーに取り付けた方が,作業員が出入りしやすい上,ドアを開閉する手間も省けるという。

 完成車の組み立てラインを流れるボディーを見てすぐに気づく点は,フェンダーやフロントフード部分の塗装面がザラついていること。これは
塗装後に液状ラップ加工を施し,薄いフィルムを形成することで塗装面を保護しているため。国内外の販売店にクルマを搬送・輸送中に,跳ねて当たる小石の傷や,潮風による悪影響を防ぐ。クルマを販売店に運び終えるとこのラップをはがし,布で拭いてきれいな塗装面を顧客に見せる。「基本的にはこうしたラップを施さなくても問題はないが,細心の注意を払うためにこの作業を追加している」(同氏)。
 
 フロントガラスとリアガラス(以下,ガラス)の組み付け工程では,No.1ラインとNo.2ラインとで大きく異なる点がある。それは作業が自動化されているか,人手によるものかの違い。No.1ラインでは,ガラスの搬送と,ガラス上のボディーとの接合部分への接着剤の塗布は自動化されているものの,続くガラスのボディーへの取り付けは作業員が行う。具体的には,ベルトコンベヤ上を流れるボディーを挟んで左右に1人ずつ配置された作業員が,協力しながらガラスを持ち,ボディーに取り付けていく。取り付け作業中は作業員もベルトコンベアに乗り,ボディーとともに動きながら仕事を遂行する。