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図1 サン・マイクロシステムズ 代表取締役社長のDan Miller氏(左)と東京大学 理事 副学長 産学連携本部長の石川正俊氏(右)
図1 サン・マイクロシステムズ 代表取締役社長のDan Miller氏(左)と東京大学 理事 副学長 産学連携本部長の石川正俊氏(右)
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 東京大学とサン・マイクロシステムズは「組織的な共同研究に係る協定書」を締結した(図1)。この協定では,東京大学が「計画性を重視した大型の共同研究」(東京大学 理事 副学長 産学連携本部長の石川正俊氏)として提案する「Proprius21」プログラムが採用されている。まず1年間かけて,グリッド・コンピューティングやソフトウエア開発などのIT関連の分野から,企業が要求する成果を出せると考えられる分野を共同研究の研究テーマとして選定する(図2)。サン・マイクロシステムズ 代表取締役社長のDan Miller氏は「東京大学とともに,世界的なイノベーションをもたらす次なるJavaを見出したい」と,東京大学との連携に対する期待を語った。

 Proprius21は,企業と大学の両者で事前に共同研究の計画を十分に詰めるというもの。従来の「大学と共同研究したが,思うような成果を得られなかった」という声に応えた。大学での研究が思ったよりも進んでいない,あるいは企業の要求するレベルに達するにはもっと時間が必要になるといった,企業にとってのリスクを明らかにする。そのため,「企業は共同研究のリスクを事前に回避できることが特徴」(東京大学 教授 産学連携本部 研究推進部長の太田与洋氏)としている。実際にProprius21に従って研究計画の立案を試みたものの,本格的な共同研究に至らなかったことも2件あるという。

 今回の協定では,サン・マイクロシステムズの米国本社であるSun Microsystems, Inc.と連携することが前提となっている。東京大学が共同研究に向けてProprius21を採用するのはサン・マイクロシステムズで9社目となる。今までに外資の製薬企業との連携はあるが,外資IT企業の米国本社とは初めてという。サン・マイクロシステムズは世界で約80校の大学と連携しており,日本の大学と産学連携を行うのは今回の東京大学が初めてとする。2006年の3月~4月頃に3件~4件の大型の共同研究を開始する予定で,年間数億円の研究費が必要になると予測している。ただし,まだ研究そのものを選定していないため,詳細は未定という。

 今回,共同研究の候補となるテーマの選定は「ポスドク」(postdoctoral)と呼ばれる,博士課程を修了し常勤雇用されていない若手の研究者が行う。ポスドクは,最低5年は大学院で学習しており,どの研究室で誰が何を研究しているかをよく把握している。またポスドクは教授と違って専門が確定していないので,そのまま選定した研究テーマに従事することも可能だ。研究テーマの選定中にはSun Microsystems社の研究所での議論も予定されている。海外の民間の研究所に接する機会を持つことで,東京大学の石川氏は「グローバルに活躍するエンジニアを産み出したい」と,若手の育成につながることを期待する。実際には「ポスドクも全員大学に残れるわけではない。大学以外にもアカデミックな研究に携われる場所があることを知って欲しい」(東京大学 太田氏)という意図もあるようだ。

図2 知識の共有を実現するのに必要な要素技術などの研究を想定する
図2 知識の共有を実現するのに必要な要素技術などの研究を想定する
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