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 「英国には,『ラズベリージャムの法則』というのがある。広げると薄くなってしまう,という意味で,ソニーとしても,すべての製品領域で戦いを挑むことはできない…」。

 ソニーは,経営陣の刷新を受け,新たに取締役 代表執行役会長 兼 CEOに就任したHoward Stringer氏と取締役 代表執行役 社長 兼 エレクトロニクスCEOに就任した中鉢良治氏の2人による記者会見を開催した。「最優先課題はエレクトロニクスの復活」(Stringer氏)であることを改めて強調,9月には経営方針を示すとした。冒頭の「ラズベリージャムの法則」は,エレクトロニクスの復活の具体策をたずねた質問に対し,Stringer氏が母国で使われることわざを持ち出して答えたものだ。

 「選択する領域は,エンジニアの声を聞きながら決めたい」とするStringer氏に代わって具体的な製品を持ち出して答えたのが新社長の中鉢氏だ。「既存のカテゴリの中ではテレビ,DVDを含むビデオ,そしてウォークマンが強化領域だ。新たなチャンスがある分野としては,コミュニケーションやモバイルとの融合領域だ」とした。一方,撤退分野については具体的な名前を出さなかった。「社内では,研究開発の領域で多くの撤退領域を定めてやっているのは事実だ。適宜,何をやるやらないは明確にしていきたい」とし,社内で見直しが進んでいることを明らかにした。

 事業部間の壁が高いのではないかと問われると,Stringer氏は日本企業固有の問題ではなく米国でもあることだとした上で,壁を打ち破った例として「プレイステーション・ポータブル(PSP)」を持ち出した。PSPでは,ゲームだけでなく,音楽やビデオでもたくさんのソフトウエアが登場する。それを引き合いに出して「それほど複雑な問題でない」と楽観的ともいえる姿勢を見せた。

 これに対して中鉢氏は「これまでのソニーでは,デバイス部門とセット部門のシナジーにより,違った価値のものをたくさん作り出してきたが,そうした融合が最近少なくなっているのかと思うところもある」という問題意識を披露した。そのうえで,組織や商品の重複を見直し,戦略を1つにしていきたいとした。

 次世代DVD規格の統一交渉については中鉢氏が答えた。「消費者の利便性を考えたとき,規格は1つが望ましい。努力は惜しまない,努力を続ける所存です」という,これまでの姿勢に変化がないことを示しただけだった。