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図 サービスに利用する無線機器のイメージ。アクセス・ポイントは,屋外用(左奥)と屋内内を用意する。
図 サービスに利用する無線機器のイメージ。アクセス・ポイントは,屋外用(左奥)と屋内内を用意する。
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 ドリームテクノロジーズと平成電電など4社は,「従来にない技術と規模」とうたうワイヤレスモバイルサービス事業をうたう2005年11月に開始すると発表した。想定する無線基地局数は15万台~20万台で,全国が対象。IEEE802.11無線LANや「モバイル版WiMAX」と呼ばれるIEEE802.16e,および「MIMO(multiple input multiple output)」を使った空間多重技術を組み合わせて利用する,という。サービスは,4社が共同で設立した事業会社「ジャパンワイヤレス」を通して提供する。利用料金は定額制で「(月額基本使用量が2900円の)WILLCOMなどのサービスの1/2程度にする」(ジャパンワイヤレス)。

 ジャパンワイヤレスが提供するのは,無線LANやIEEE802.16e対応の基地局を多数配置してインターネット接続環境などを提供するサービスである。国内のこれまでの公衆無線LANサービスと異なるのは,無線基地局数の規模や無線技術の違いに加えて,一般利用者に無償で提供する無線LANのアクセス・ポイント製品10万台を,サービスの基地局として利用する点である。10万台は同社が想定する全基地局数の1/2~2/3に相当する。

 従来,ボランティアやフランチャイズ方式で基地局を設置するケースはあったが,これだけの台数を無償提供するサービスは国内では初めてである。基地局を提供するユーザーの募集は,本日2005年7月5日から同社のホームページを通して開始した。

 サービス・スケジュールは以下の通り。まず,2005年夏以降からMIMO対応の無線LAN基地局を全国の政令指定都市に展開。次に,各県の県庁所在地にエリアを広げ,2006年夏までに人口が14万人以上の都市をカバーする。2006年夏からは,郊外などを中心にIEEE802.16eに準拠する無線基地局の展開も開始し,2007年夏の時点で全国の85%のエリアをカバーする計画である。

 こうした基地局の展開には,無償提供分やIEEE802.16e対応の基地局設置コストも含めて100億円~300億円を投資する。

屋内の基地局で屋外をカバー

 無線LANで利用する周波数帯域は,2.4GHz帯,4.9GHz~5.0GHz帯(4.9GHz帯),5.15GHz~5.35GHz(5GHz帯)の3バンド。多くの基地局がユーザーの自宅内に設置されることになるが「MIMOを使った無線は伝送距離が長くマルチパスにも強い。屋外からでも十分利用可能になる」(ジャパンワイヤレスの代表取締役 大山茂氏)という。MIMO対応無線LANの伝送距離は「全方向のオムニ・アンテナを利用した場合で見通し600mが得られることを実験で実証済み。これは総務省が無線アクセス向けに最近実施した電波出力の規制緩和のおかげ」(同氏)とする。

 利用するMIMO対応の無線LANアクセス・ポイント製品はドリームテクノロジーズが自社開発する(図)。利用するチップセットのメーカーなどは明らかにしなかった。アンテナの数は,送信2本,受信3本(以下,2×3)。最大伝送速度も108Mビット/秒。いずれも,現在MIMO対応として唯一製品化されている米Airgo Networks,Inc.製のチップセットの仕様と同じである。

 MIMO対応の無線LANは,2006年末にもIEEE802.11nとして標準化される見通しである。ジャパンワイヤレスのスケジュールではIEEE802.11nに準拠した製品が登場するまでに10万台以上の基地局を展開する計画になっている。この点について同社の大山氏は「デバイス・ドライバなどの更新で対応できるようになるはず」と説明する。

 MIMO技術は,2006年半ばから展開する予定のIEEE802.16e対応基地局についても,独自に実装して1基地局のカバー半径を3km~4kmに延ばす計画という。ただし,具体的なサービス開始時期や利用周波数などは「IEEE802.16eの標準化動向や総務省の対応次第で変わる」(平成電電)などとして明らかにしなかった。

アクセス回線は基地局の管理者が「自腹」で提供

 これまでになく大規模な無線LANサービスの計画だが,10万人の自発的な基地局管理者が早期に集まるかどうかが,事業拡大の可否を占う大きな要素となりそうだ。

 今回のサービスのような,基地局の設置を一般ユーザーに任せるタイプの無線LANサービスは,一般に基地局の運用管理が大きな課題となる。設置当初はともかく,時間が経つと故障などで使えなくなるケースも想定できる。「基地局の管理者には,保守管理義務を負ってもらう。この点は契約の際に,約款で明記する」(ジャパンワイヤレスに55.5%を出資するドリームテクノロジーズ 代表取締役社長の山本勝三氏)。

 基地局の管理者のメリットは,無線LANのアクセス・ポイントとPCカード1枚が無償で提供される点と,この無線サービスが無料で利用できる点である。一方,利用できるアクセス回線は,平成電電が提供するADSLサービス「電光石火」などに限定される。このアクセス回線の利用料金は,ほかの一般ユーザーと同額である。しかも,家の外から不特定多数の人に無線LANに接続され,アクセス回線の帯域を利用される。