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ソニーの鶴島氏。「新しいエレクトロニクス材料の登場が次なる技術革新の牽引役に」
ソニーの鶴島氏。「新しいエレクトロニクス材料の登場が次なる技術革新の牽引役に」
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 2010年に向けたエレクトロニクス分野の技術動向を占う「NEテクノロジー・サミット2005」(日経エレクトロニクス主催)が東京で開催された。午前中の基調講演では最初に,ソニーで研究開発部門の総責任者を務める,エグゼクティブ・バイス・プレジデント R&D担当の鶴島克明氏が登壇した。同氏は,ソニーが描く電子ペーパーや「使いやすい形に膨らませる携帯電話機」といったアイデアを紹介しながら,新しいエレクトロニクス材料の登場が次なる技術革新の牽引役になるとの見通しを語った。鶴島氏の講演要旨は次の通り。

 スイスの教育研究機関IMDの国際競争力ランキングによると,日本は現在21位。中国の新興工業地域である浙江省より下位にあるのが現状だ。日本に限らず,米国を除く先進国はいずれも長期的にランキングが低下する傾向にある。米国は同ランキングで12年連続1位を確保しているが,一方で,米国内で取得される特許の半数は外国企業のものであるなど,米国内では危機感を持って現在の産業動向を捉えている。世界的な競争の空間も拡大している。従来はITに限られていた分野が民生用電子機器全般に広がり,東アジアを中心とした海外勢の台頭もめざましい。電子機器のコモディティ化も急速に進み,我々を取り巻く環境は非常に厳しい。

 一方で,景気の動向は50年~60年周期で成長と低迷を繰り返すという学説がある。現在エレクトロニクス分野を取り巻く状況は厳しいが,これを乗り切れば2010年には再び成長フェーズに乗ることができるのではないか。米国では近年,健康や遺伝子工学などヒトに関連する研究開発が進んでいる。日本においても,2010年にかけて健康,福祉,環境機器といった分野の研究開発が伸びてくると思う。

 エレクトロニクス分野の新たなブレークスルーを実現する上で,それを牽引するイノベーションとして期待されることがいくつかある。たとえば素材の分野では,かつてFe(鉄)からSiへの変遷があった。素材の変化はそれに付随するさまざまなものを変えていくという,大きなインパクトを持っている。そして現在はカーボンへと変遷しつつある。その延長線上にはカーボン・ナノチューブや有機エレクトロニクスといった技術も見えている。

 ソニーでは紙のように曲がるパソコンや,「Air Phone」と呼ぶ,使いやすい形に膨らませる携帯電話機といった製品を考えている。現時点ではあくまで構想段階だが,あながち夢物語でもない。たとえばプラスチック製の曲がるTFTディスプレイといったものは既に開発を進めており,要素技術のいくつかについては,少しずつ形が見えつつある。