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上半期をあらためて見つめ直す意味で,Tech-On!では13のテーマサイトごとに「上半期トップ10」をお送りしています。今回は,ものづくりとITサイトのテーマサイト・マスターである日経ものづくりの吉田勝記者に上半期を振り返ってもらいます。(Tech-On!編集部)

「ものづくりとIT」では,メーカーの製品開発・生産現場におけるプロセス改革活動に注目が集まった。特に製品開発の分野では,3次元CADなどのITツールを活用した取り組みが目を引く。それと同時に,そうしたITツールを提供するベンダーの動向にも高い関心が寄せられているようだ。ここでは,アクセス数の高かった100本の記事から注目の10本を振り返ってみよう。

ますます進む3次元モデルの利用

 上半期に,製品開発のプロセス革新でもっとも注目を集めたのは,日産自動車の新しい開発プロセス「V-3P(Value Up Innovation of Product Process Program)」だった。

開発期間10.5カ月の日産「ノート」,すべての組立作業を3次元モデルで事前検証して手戻りを防ぐ 1月20日

 V-3Pは,同社のコンパクトカー「ノート」の開発で本格的に全面展開した取り組みである。意匠設計から,生産設備の検討まで幅広い局面で3次元モデルをフル活用し,開発期間を従来の半分程度にまで短縮している。

 家電メーカーにおけるプロセス改革活動では,松下電器産業が気を吐いている。

松下電器産業の業績V字回復を支えた,IT活用による設計と生産のプロセス革新 1月28日

 自動車メーカーと違い,多種多様な商品を展開する家電メーカーでは,製品開発でのIT活用を全社で推し進めるのが難しい。事業部によって温度差が生じがちだ。同社は,各商品群からそれぞれ「トップモデル」を選び,まずはその商品の開発を対象にプロセス改革を推進。そこで得たノウハウを同一商品群に対して横展開するというやり方をとっている。

 リコーの製品開発のプロセス改革におけるコンセプト「作らずに創る」の実践でもITツールが重要な役割を果たしている。

リコー,「作らずに創る」を目標に設計改革を実践,メカ部品も徹底的に共通化 2月24日

 3次元CADやCAEを活用して,部品の共通化やモジュール化,仮想試作を進めている。

 意匠設計の領域ではCGを使った検討が本格化しているようだ。前述の日産自動車でも,CGでノートの走行シーンのアニメーションを作成し,見栄えなどを評価していた。スズキも実物大の立体表示が可能なシステムを導入し,デジタルモックアップで質感などを評価している。

スズキ,実物大立体視表示で質感もバーチャルに検討 3月2日

 ところで,こうしたプロセス改革でしばしば問題となるのが推進体制づくり。プロジェクトチームには現場を先導する優秀な人材を確保したいところだが,従来業務との兼務という場合も少なくない。そうなるとプロセス改革に専念できず,思惑どおりに進まないといった事態も起こり得る。そうした課題に対し,参考になるのが日立製作所の取り組みだ。必要な人材はどんどん引っこ抜いて,場合によっては今までと全く違う仕事をさせる「荒技」だが,こうした割り切りと覚悟も重要だろう。

日立の「モノづくり改革」,社内コンサルタント要員として各部門から優秀な技術者を「問答無用」で引き抜く 1月28日

買収,提携で勢力拡大図るベンダー