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ルネサスが試作したメモリ・チップ
ルネサスが試作したメモリ・チップ
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 ルネサス テクノロジは,65nm世代以降のSoC(system on a chip)混載用途に向け,高密度のメモリ「TTRAM(twin transistor RAM)」を開発した。従来のSoC混載向けDRAMの代替を狙う。TTRAMでは,メモリ・セルをSOI(silicon on insulator)基板上に形成した2個のMOSトランジスタで構成する。従来のDRAMで必要だったキャパシタが不要になるため,65nm世代以降も継続的な高密度化が可能とする。

 ルネサスは今回,130nm世代のSOI CMOS技術を使って,メモリ容量が2Mビットのテスト・チップを試作した。連続データ出力時の動作周波数は250MHzと,混載DRAMとほぼ同等である。ランダム・アクセス時の動作周波数は133MHzと速い。動作周波数が250MHzの連続データ出力時における消費電力は148mWと,同一世代のCMOS技術で製造した同社製の混載DRAMと比べ,約43%小さい。室温でのデータ保持時間は約100msを確保したという。

 試作チップのメモリ・セル面積は0.33μm2と,同一世代の混載DRAMのメモリ・セル面積0.35μm2より小さい。

 TTRAMでは,SOI基板上にシリアル接続した2個のトランジスタをメモリ・セルとして用いる。1個は従来のDRAMキャパシタに相当するストレージ用トランジスタで,もう1個はアクセス・トランジスタである。アクセス・トランジスタの導通状態と,ストレージ・トランジスタの浮遊ボディの電位を制御することで,データの書き込みや読み出しを行う。「0」データを書き込む際には,浮遊ボディ電位を低い状態,アクセス・トランジスタを「オン」にする。「1」データを書き込むためには,浮遊ボディ電位を高い状態,アクセス・トランジスタは「オフ」にする。データの読み出しに際しては,浮遊ボディの電位状態によって,アクセス・トランジスタのオン電流が異なることを利用する。これらの一連のメモリ・セル動作では,DRAMで必要だった昇圧電圧や負電圧などが不要なため,微細化や低電圧化しやすいとする。