積水化学工業は,自動車のサンルーフなどに使える合わせガラス用の中間膜「S-LEC SAF Milky White」を2006年3月から発売する。ガラスの飛散防止,紫外線カット機能に加えて,遮音性と半透過性を併せ持つもので,サンルーフに使えば安全性の向上とプライバシーの保護,および雨音などの外部から入る騒音の低減に役立つ。
この中間膜は,二つのポリビニルブチラール層の間に遮音層を挟んだ同社独自の遮音中間膜において,乳白色の顔料を分散させたもの。遮音層には,従来と同様に,ポリビニルブチラールを基本骨格とし,柔軟性を高めるために構造を工夫した樹脂を採用している。分散させる顔料を変えることで,さまざまな色に対応できるとしている。
遮音性の指標となる音響透過損失は,人間にとって耳障りとされる1k~4kHzにおいて,おおよそ35~40dBと通常の中間膜より高い値を示す。光の透過率については,可視光の領域で60%台と通常の中間膜より20~30%高い。もっとも,透過率については顔料の濃度を調整することである程度増減可能としている。
同社によれば,自動車のルーフガラスでは近年,合わせガラスの採用が増えている。日産自動車の「ラフェスタ」,ホンダの「エアウェイブ」「ステップワゴン」,DaimlerChrysler社の「Mecedes-Benz」などが採用しているという。大型のサンルーフを適用した車種や高級車において,安全性を向上するための採用が目立っているようだ。
同中間膜は,透明で遮音機能のない通常の中間膜と比べて,価格は3倍程度。ただ,合わせガラスの状態にするのはガラスメーカーとなるため,同中間膜を採用した合わせガラスの価格がどのくらいになるかは不明としている。