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エプソントヨコムの代表取締役社長に就任する加々美健雄氏
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エプソントヨコムのロゴ
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 水晶デバイス事業を手掛ける新会社「エプソントヨコム」が2005年10月1日から事業を開始するに当たり,その前身となる東洋通信機と,セイコーエプソンの水晶デバイス部門が共同で記者会見を開催した。エプソントヨコムの代表取締役社長に就任する加々美健雄氏は,2007年度における売上高の目標を1000億円とすることを明かした。統合前となる2004年度の売上高を合算すると約840億円と業界最大手に躍り出る。2年後をメドにさらに約20%の増収を狙うことになる。

特許やノウハウを相互に活用


 会見においてエプソントヨコムの首脳陣は,事業統合によって高いシナジー効果が得られる点を繰り返し強調した。一例としては特許やノウハウといった知的財産の持ち駒が増えたり,セイコーエプソンが保有する特許を活用できたりするようになる。両社の技術者が交流することで,より付加価値を持つ製品の開発も可能になるという。「事業統合を発表した2004年11月以降,既に数十人規模の技術者が相互に行き交い新製品の開発を進めてきた。近々にもその第1弾を発表する」(エプソントヨコム 代表取締役専務に就任する宮澤要氏)。

 事業統合した後の売り上げ規模は一般に,統合前に比べて減少することが少なくない。製品ラインの統廃合を行うケースが多いからだ。しかし今回,エプソントヨコムは早期の増収計画を掲げるなど強気の姿勢を見せる。宮澤氏はその理由を「両社の競合製品が少なかったため」と説明する。東洋通信機は産業機器向けの製品に強みがある一方,セイコーエプソンは民生機器向け市場を中心に事業を展開している。それぞれが築いた営業体制を活用しあうことで,売り上げ規模の拡大が期待できるとする。

センサ事業を強化へ


 エプソントヨコムは,大きく3事業を手掛けることになる。水晶振動子や発振器などの「タイミング・デバイス」と,OLPF(optical low pass filter)といった光学部品の「オプト・デバイス」,ジャイロや温度センサなどの「センシング・デバイス」である。現状ではタイミング・デバイスの売り上げが大半を占め,その比率は約9割に達する。残りはオプト・デバイスである。しかし「2007年度にはセンシング・デバイスの売上高を10%弱まで高めたい」(加々美氏)とした。

 東洋通信機とセイコーエプソンが,水晶デバイス事業の統合を発表したのは2004年11月にさかのぼる(発表資料)。2005年9月9日には,承継会社である東洋通信機の社名をエプソントヨコムに変更する方針を発表している(発表資料)。