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講演するBOSCH Engineering社のBender氏
講演するBOSCH Engineering社のBender氏
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 ドイツBOSCH Engineering GmbHは,2005年9月27日からドイツ・ミュンヘンで開催されているソフトウエアの品質に関する国際会議「3rd World Congress for Software Quality 2005(3WCSQ)」で,「Experiences using TPI in the Automotive Industry」と題して,ドイツの自動車メーカーが中心となった策定した車載向けソフトウエアのテスト・プロセス「TPI Automotive」について講演した。

 講演したのは,同社のSystems Engineering and Consulting Test Service Center Senior ConsultantのMichael Bender氏である。同氏は,1991年にドイツBOSCH Telecom社に入社し,通信機器向けソフトウエアのテスト・プロセス改善に取り組んだ後,2000年にBOSCH Automotive社に異動。車載向けソフトウエアの開発やそのテスト・プロセスの改善などに取り組んできた。なお,ソフトウエアのテスト・プロセスとは,ソフトウエアの開発においてCMMなどのプロセス改善モデルがあるように,ソフトウエアの検証についてもプロセスを定義し改善につなげていこうとするものである。「TPI(Test Process Improvement)」や「TMM(Test Maturity Model)」などがある。

 Bender氏は,自動車分野に移った際,通信分野のソフトウエア・エンジニアとの意識の違いに驚いたという。自動車分野でも,開発プロセスの改善活動は行われているものの,テスト・プロセスを改善しようという意識が非常に希薄だった。「私が通信分野で得たノウハウや知識を車載分野にも適用しようと試みたが,結局,失敗した。エンジニアはみな,開発が忙しいからテストのプロセス改善などに取り組んでいられない,というスタンスだった。自動車分野に根付いている機械を重視する文化を大いに感じた」(同氏)。同じ組み込みソフトウエアといえども,異なるドメインでの成功事例を他のドメインにそのまま適用するのは不可能であり,何らかのモデルやメソドロジが必要と痛感したという。

 そのころ,ドイツの自動車メーカーが中心となって構成した車載向けソフトウエアの業界団体HISが,テスト・プロセスの比較・分析に乗り出した。障害管理などテスト管理の網羅性が高く,一番実践的であるとの理由から,自動車分野には「TPI」が適していると結論を出した。2004年10月には,ドイツHISが中心となって,このTPIを車載ソフトウエア向けに手直しした「TPI Automotive」を策定し,公開した(TPI Automotiveの英語版)(TPI Automotiveのページ)。BOSCH社でも,現在ではこのTPI Automotiveを基にテストのプロセス改善を進めているという。

 TPI Automotiveは,「テスト戦略」,「メトリクス」,「テスト設計技術」,「テスト自動化」,「ライフ・サイクル・モデル」など合計21個のキーエリアから成る。それぞれのキーエリアごとに「A」~「D」まで,最大で4段階の成熟度レベルが設定されている。BOSCH社のような電子制御ユニット(ECU)のメーカーとしては,TPI Automotiveのような形でテストの過程が定義されることで,自動車メーカーとの間で仕事が進めやすくなると期待しているという。