慶應義塾大学は,NTT 未来ねっと研究所,University of California, San Diego(UCSD),University of Illinois at Chicago(UIC),Pacific Interface と共同で,4000×2000画素(4K×2K)のデジタル・シネマ映像の日米間における伝送デモンストレーションを実施した。グリッド・コンピューティングの国際会議「iGrid2005」において,2005年9月27日~29日にかけて連日日本時間の早朝(米国時間の前日夕方)に実演した。
今回の実演では,オリンパスの4K×2K対応ビデオ・カメラによるライブ中継と,米Silicon Graphics, Inc.の映像サーバで生成したCG映像や,映画フィルムをスキャンしたデジタル・シネマ映像のストリーミング配信を実施した。ライブ中継では,ビデオ・カメラの映像をNTT 未来ねっと研究所のJPEG2000符号化装置により200Mビット/秒~400Mビット/秒にリアルタイム圧縮し,米国側で復号化してiGrid2005の大型スクリーンに映し出した。符号化/復号化装置は1組だけしかないため,米国から日本への映像伝送はHDTV映像を利用した。リアルタイム中継時には,片方向の通信ではなく対話ができるように,遅延時間が往復で200ms~300ms程度に収まるように工夫した。
今回の実演は,デジタル・シネマの伝送が学術や教育,医療などの分野で実用に耐えられることを示す狙いがある。今回の実演が成功したことにより「IPネットワークを使って高精細な映像を安定的に送ることができることを証明できた」(慶応大学)とする。