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 ソフィア・クレイドルは,携帯電話機上で動く「BREWアプリ」をC++言語によるオブジェクト指向プログラミングで開発する開発環境の新版「SophiaFramework3.0」を開発した(発表資料)。現在,無償ベータ版を公開中である(製品ページ)。価格は1ライセンス30万円(税別)から。

オブジェクト指向のクラス・ライブラリを整備

 BREWは,米QUALCOMM Inc.が仕様を定める携帯電話機上のアプリケーション開発環境である。日本国内ではKDDIが携帯電話サービス中で「BREWアプリ(EZアプリ)」として採用している。「SophiaFramework」は,C++言語でBREWアプリケーションを開発するためのクラス・ライブラリを中核とし,既存のC++開発環境,それにBREW SDKと組み合わせて開発環境を構成する。組み合わせ対象のC++開発環境は,Microsoft Visual Studio.NETと,ARM RealView Compilation Tools for BREWである。「今回のバージョンアップで,ライブラリの作りと処理性能などを見直した。C++によるオブジェクト指向プログラミングにより,実用的なBREWアプリケーションを開発できるようになった」(同社)。

 従来のBREWの開発環境は低レベルの描画APIしか提供されていなかった。このため,GUIアプリケーションを開発するには,イベント処理プログラミングを条件分岐の組み合わせで記述する必要があるなどの煩雑さがあった。同社の開発環境では,ユーザー・インタフェース構築用のオブジェクトに対してハンドラを記述するスタイルとなり,より抽象度が高く記述量が少ないプログラミングが可能になる。

ユーティリティの処理性能を大幅向上

 C++言語によるオブジェクト指向開発では,C言語と比べて実行ファイルのサイズ増大や実行速度の低下が起きる場合があり,組み込みソフト開発や携帯電話機向けアプリケーション開発ではこの点がネックとなっていた。同社では「特に利用頻度の高いユーティリティを全面的に見直した。速度,サイズとも実用的なレベルになった」としている。例えば文字列処理では,ベンチマーク・プログラムで測定したところ,今回のバージョン3は従来版のバージョン2.2に比べ,(1)文字列への他の文字列の追加で253倍高速になり,(2)文字列の検索で5.45倍高速になり,(3)文字列の置換で5.97倍高速になった。

 新バージョンでは,従来のバージョンに比べ,「乱数クラス」「日付クラス」「DNS解決クラス」「ヒープ管理クラス」「メール送受信クラス」「ARM組み込みライブラリを利用可能にする関数」などを追加した。このほか,プログラムがメモリ領域を確保/解放する様子をエミュレータ上で追跡する機能を強化した。