松下電器産業は,「一太郎訴訟」で最高裁判所に上告しない方針を固めた。2005年9月30日に知的財産高等裁判所(知財高裁)がジャストシステムの逆転勝訴となる判決を言い渡したことで,松下電器の動きが注目されていた(Tech-On!の関連記事,「日経エレクトロニクス」誌の関連記事)。同社は「当社の主張が一部認められたことは評価できる」(広報部)として知財高裁の判決を受け入れることを決めた。
松下電器が評価したのは「装置の発明として認められた特許に対する,ソフトウエアによる間接侵害が成立することを示した点」(広報部)である。知財高裁はヘルプ表示に関する同社の特許(特許番号第2803236号)には先行発明があり,「特許無効審判により無効にされるべきもの」(判決文)とした。ただし,この特許が有効だった場合は,請求項1および同2について,ジャストシステムによる「特許法101条2号所定の間接侵害が成立する」(判決文)とした。
機器メーカーは,かつてワープロ関連の発明などで取得した数多くのソフトウエア特許を持つ。ソフトウエアそのものを特許対象とするようになったのは特許庁が2000年に実施した「コンピュータ・ソフトウエア関連発明の審査基準」の改訂以降だが,それ以前に機器や方法の発明として取得した特許を,現在のソフトウエアが侵害し得ることをあらためて示した判決だったといえる。
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