米Apple Computer, Inc.は2005年10月12日,米カリフォルニア州サンノゼで開催した記者発表会で,同社のディスプレイ一体型パソコン「iMac G5」の新機種を発表した(発表資料)。
今回の機種から「Front Row」と呼ぶユーザー・インタフェースを搭載した。音楽再生やDVD装置の駆動を,専用赤外線リモコン「Apple Remote」を使って遠隔で操作できる。リモコンを使ってパソコンのAV機能を制御する仕組みでは,米Microsoft Corp.が提唱するエンターテインメント・パソコン向け仕様「Windows Media Center Edition」のユーザー・インタフェースがある。Apple社CEOのJobs氏はWindows Media Center Edition への対抗心をむき出しにしながら,「Media Center Edition用のリモコンは40個以上のボタンを備えている。我々のApple Remoteではたった6個のボタンで済むのに」と,より操作が容易であることをアピールした。
赤外線リモコンのApple Remoteは,Apple社の携帯型音楽プレーヤである「iPod Shuffle」とよく似た形状である。iPodの「Click Wheel」型のインタフェース外側に,「上」,「下」,「左」,「右」のボタンが配置されている。このボタンを押しながら画面に表示されたメニューの項目を操作する。なおApple Remoteはマグネットを使ってiMac G5の側面に貼り付けておくことができる。
さらに今回のiMac G5では,ビデオ会議などに向けた「iSight」と呼ぶビデオ・カメラを標準で内蔵した。ビデオ会議用のソフトウエア「iChat AV」と,iSightで静止画撮影を行うソフトウエア「Photo Booth」も標準で添付している。記者発表会では,Jobs氏がPhoto Boothを使ってさまざまな表情を撮影し,会場から爆笑が起きる場面もあった。iSightのビデオ出力は680x480画素で,30フレーム/秒,24ビットのカラーに対応する。
このほかMini VGA出力ポートを備えており,テレビ受像機と接続して,パソコン側に格納した動画や静止画をテレビ受像機で表示できる。Mini VGAからS-Videoおよびコンポジット端子に変換するケーブルもオプションで対応する。ただしMini VGA経由で接続したテレビ受像機を,Front Rowのユーザー・インターフェースで制御する機能は備えていない。マイクロプロセサには最大動作周波数が1.9GHzのPowerPC G5を使い,160Gバイトのハード・ディスク装置,グラフィック・アクセラレータにはカナダATI Technologies,Inc.のRadeon X600 Proを用いる。無線LANとBluetooth 2.0+EDRに対応する。価格は17インチ型で1299米ドル,20インチ型で1699米ドルであり,発売は来週からの予定。