セブン&アイ・ホールディングスは,2007年春をメドに非接触型ICカードを用いた電子マネー・サービスを開始する。同社傘下のコンビニエンス・ストア「セブン-イレブン」をはじめ,グループ内の約1万2500店,4万台のPOS端末で利用可能にする。まずは「Edy」や「Suica」などといった既存の電子マネー・サービスへの相乗りを避け,グループ内の金融子会社を活用しながら独自のサービス網を構築することを模索していく。2007年度中に1000万枚のカード発行を目指す(PDF形式の発表資料)。
現在進めているセブンイレブンのPOS端末の更新が終わる2007年春に,約1万1000店あるセブンイレブンの全店で一斉導入する。「イトーヨーカ堂」や「デニーズ」など傘下の他業態の店舗でも,2007年度中に順次採用する。当初はプリペイド(前払い)型の電子マネーによる少額決済サービスと,利用額に応じてポイントを蓄積・使用できるポイント・サービスを展開する。将来的には,ポストペイド(後払い)型の電子マネー・サービスを展開するほか,自社グループ以外の企業でも同社のカードを利用可能にしたり,他のポイント・サービスと同社の電子マネーを交換可能にしたりする計画。決済システムの構築に際しては,ジェーシービー(JCB)がノウハウを提供する。
EdyやSuicaとの提携,「声は掛けられているが…」
EdyやSuicaなど既存の電子マネーとの提携の可能性については,「既に各方面から声を掛けられているし,これまで検討もしてきた。しかし,顧客に対して当社が発行体としての責任を負うことで,安心感を提供していく」(セブン&アイ・ホールディングス 最高財務責任者の氏家忠彦氏)と述べ,あくまで独自サービスを展開していく方針を強調した。電子マネー・サービスとしては後発になるものの,事業モデルの主導権を自社グループ外の企業に渡すことなくサービスを展開していく。EdyやSuicaが展開していない新サービスを導入したり,顧客の行動分析にかかわる自社のノウハウを生かしたりする狙いがあるとみられる。
ただし氏家氏は,「今後どこの企業と提携するのかという選択の余地を持たせることを含めて,独自サービスとした」とも述べており,将来的に他社の電子マネー・サービスと互換性を持たせる可能性にも含みを残した。非接触型ICカードの規格については,EdyやSuicaと同じフェリカネットワークスの「FeliCa」を採用するか,他の方式にするかを「これから取引先などと検討していく。今はまだ計画を発表した段階」(セブン-イレブン・ジャパン 執行役員 情報システム本部長の佐藤政行氏)とした。