セイコーエプソンは,2005年11月30日に開催したリアプロの新製品発表会(Tech-On!関連記事1)で,次世代品に向けて,発光ダイオード(LED)や半導体レーザなど新たな光源を採用する検討を進めていることを明らかにした。現行のリアプロは,光源に高圧水銀(FHP)ランプを採用している。しかし,FHPランプは「フルの明るさになるまでの時間がかかり,瞬時点灯ができない」(同社 映像機器事業部 事業部長の羽片忠明氏)という課題があるため,今後この改善に取り組む必要があるとした。その解決策の1つが,瞬時点灯が容易なLED光源の利用であるという。
現行のFHPランプからLED光源に置き換えることで得られる利点は,瞬時点灯性だけではない。「色再現範囲の拡大や,小型/薄型化,長寿命化などが実現する」(セイコーエプソンの羽片氏)。色再現範囲の拡大は,R(赤色),G(緑色),B(青色)の3種類の異なるピーク波長を備える光源を利用するためである。小型化/薄型化は,光源が小さくなることで光学系もより小さくて済むため。FHPランプでは,一定期間でランプ交換が必要であるなど,寿命が課題となっているが,LEDの場合は,こうした交換が不要になると見込む。
ただし,リアプロにLED光源を利用する最大の課題は「現状では光量が足りない」(セイコーエプソンの羽片氏)点である。これについては,LEDメーカーが進める性能改善の動向を見守る必要があるとし,「十分な光量を得られるLEDが手に入るようになれば,すぐにでも採用したい」(同氏)という。
リアプロほどの光量を必要としない前面投射型プロジェクタでは,既に,LED光源を利用した試作品が幾つか登場している(Tech-On!関連記事2)。セイコーエプソンも,LED光源を利用した前面投射型プロジェクタの開発を進めている。据え置き型のリアプロとは違い,持ち運ぶことが多い前面投射型プロジェクタではLED光源を利用することで小型化できる点が,大きな利点となる。2006年以降,まずは前面投射型プロジェクタの分野で,LED光源の採用が一気に進みそうだ。