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 NECは,カーボンナノホーンを高純度に量産する技術を確立し,2005年12月2日から市場調査を目的としたサンプル提供を開始すると発表した。同社が確立したのは,純度95%以上のカーボンナノホーンを1kg/日以上製造する技術。それにより,生産性が従来の10倍以上に向上した。同社は,このカーボンナノホーンのサンプル提供を開始することで,用途開拓を促進し需要を喚起し,カーボンナノホーンを低コストで安定供給できる体制作りに結び付けたいとしている。提供するサンプルは無償で,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の支援を受けて配布する。同サンプルの製造と配布は,NECが戸田工業(本社広島県大竹市)に業務委託して実施するという。

 カーボンナノホーンは,直径2nm程度のPt粒子を均質に担持できるという点から,燃料電池用の触媒電極への応用が期待されている。また,米国エネルギ省(DOE)基準を上回る大量のメタンガスを吸蔵したり,Gd(ガドリニウム)などの金属やフラーレンなどの分子を先端付近に内包したりできる。NECによれば,ガス貯蔵や大容量キャパシタなどさまざまな分野への応用も検討されている。

 NECは,これまでもカーボンナノホーンの製造にレーザアブレーション法を用いていた。同手法は,グラファイトのターゲットに強いCO2レーザを照射することにより,室温で高純度のカーボンナノホーンを製造するものだが,従来の装置は実験室向けのもので,製造量も数g/日が限界だった。今回,量産が可能となったのは,そうした装置を大型化するとともに,新たにターゲット交換機構と生成したカーボンナノホーン粉末を連続回収する機構を開発できたため。これにより,カーボンナノホーンの製造コストを従来の1/100以下にできるとしている。なお,同量産技術は,NEDO技術開発機構がファインセラミックスセンターに委託して実施した「ナノカーボン応用製品創製プロジェクト」の一環として開発したものという。