PR

 仏Thomson S.A.が,カノープスの買収に乗り出すことを明らかにした。Thomson社が日本法人経由で100%所有するトムソン・ジャパン・アクイジションを通じて,カノープスの発行済株式総数の33.33%分をカノープス取締役会長である山田広司氏およびその親族から譲り受けることで合意したという。さらに,カノープス株式に対する公開買付けを12月6日より開始するとしている。

 Thomson社は現在,放送分野などに向けたパソコン上での映像編集やデジタル・メディア変換技術などを強化しており,この一環として,映像編集用ボードやソフトウエアなどの開発,生産を手掛けるカノープスの買収を決めた。販売チャネルの拡大が望めることも決め手になったという。

 今回の株式譲渡と公開買付けでカノープス株式を全て取得した場合,費用は株式価値で約128億円(約9130万ユーロ)となる。カノープスの純有利子負債は2005年8月末時点で約7億1260万円,2005年8月末までの12カ月間の売上高は約68億円である。こうした事業の収益力やシナジー効果などを考え合わせると,Thomson社の利益への影響は,初年度は軽微で,その後はプラスになる見込みだという。

 株式の取得が済めば,カノープスはThomson社のGrass Valley事業に統合されることになるが,山田氏は引き続き会長としてカノープスの経営の指揮をとり,カノープスの現経営陣もGrass Valley事業下で今後も事業運営にあたる予定という。山田氏は今回の買収について,「Thomson社のグローバルな販売組織を活用できることは当社にとっても魅力的な話だ。製品系列は変わるかもしれないが,カノープス・ブランドの製品は今後も日本市場に並ぶ」と話す。