「2005 IEDM」では,不揮発性メモリーの講演が,全部で29件あり,このうちMONOS/SONOSに代表される多層絶縁膜型が12件と最も多かった。このほか,ナノクリスタルは4件(多層絶縁膜スタックに埋設された2件は重複してカウントした),浮遊ゲート型は2件,相変化型は3件,ReRAMは5件,MRAMは2件,MEMSによるものが1件である。
今回の「2005 IEDM」では,不揮発性メモリーはセッション5,13,19,22,31,35の各セッションで発表されている。抵抗スイッチング型メモリーでは,相変化型メモリー(PRAMあるいはOUM)のほか,ReRAMないしは固体電解質型と呼ばれるメモリーに関して,各種材料を使った発表が急増した。この中では,ソース・ドレインと呼ばれる二つのクロスポイント端子の間の抵抗を制御する3端子型のCu2Sスイッチが発表される(19.5)。
MRAMに関しては,スケーリングの可能なスピン注入型の集積結果が発表される。10^14~10^15回レベルの書き換え回数の確認が必要であろう。
MONOS型のメモリーは,high-k,メタル・ゲートなどを使った低電圧書き込み,メモリー・ウインドウ拡大の新しい試みが,この1~2年は活発である。その一方,浮遊ゲート型の限界を乗り越えるための次の実用メモリーとして,かつナノ・サイズのトランジスタ用メモリーとして,確実に位置づけられ始めた。ONO構造で20nmゲートまでを試作したという歴史的結果が報告された。2004年の発表では,SOIウエーハ上にFin FETを作っていたのに対して,今回はバルク・ウエーハにFin FETを作り込んでいる。ゲート・スタックが厚いので,プレーナ型トランジスタではオン/オフ制御が難しい。なお,MONOS/SONOSメモリーに関しては,米Spansion LLCから1Gビット品の製品化がなされており,使えるかどうかを議論する段階はすでに過ぎ去っている。