米Axcelis Technologies, Inc.は,45nmノード(hp65)から本格的に導入が始まるポーラスlow-k膜向けUVキュア装置を,「セミコン・ジャパン 2005」で披露した。ポーラスlow-k膜は,多孔質であることから機械的強度の確保が課題である。この装置によるUVキュア処理により,電気的特性を損なわずに十分な機械的強度が得られるようになるという。
同社は,まず研究開発向けとして今回のUVキュア装置「Rapid Cure 320FC」を開発,特定のユーザーに向けて出荷を開始した。ポーラスlow-k膜にUVを照射することによって,low-k膜材料のSi-OHおよびSi-Hの結合を壊すとともにSi-O結合のネットワークを形成することで機械的強度が上がるという。処理前に比べてポーラスlow-k膜の機械的強度(GPa)は1.5~2倍に改善する。さらに,はく離強度は1.3~1.7倍に上がるという結果が得られている。同社はUV光源から設計し,反射光学系と組み合わせて最適化するため,「競合他社の装置に比べて均一に照射できる」(同社Curing Product Line ManagerのKevin Durr氏)と言う。さらに,CVD,塗布のいずれで形成した膜にも対応できるという特徴もある。
今回の装置は,low-k膜のUVキュアのほかに,フラッシュ・メモリーのフローティング・ゲートなどに蓄積した電荷をリセットする「電荷除去」,ひずみSi技術で形成するSi3N4膜の引っ張り応力を強化する「Si3N4キュア」といった用途にも使えるという。