三菱電機は,10Gビット/秒の光通信に向けた「ターボ符号」誤り訂正用のLSIを開発した(発表資料)。誤り訂正符号には「BCH(256,239)×BCH(144,128)」を利用し,復号方式には「3ビット軟判定ブロックターボ 4回繰り返し復号」を利用している。誤り訂正符号の性能を示す符号化利得は10.1dB(訂正後の符号誤り率が10-13の時)。冗長度は23.6%で,最大2%のビット誤りまで訂正できる。符号化利得は従来のリード・ソロモン符号を用いる場合に比べて4.3dB大きく,今回のLSIを用いれば,伝送距離が同じなら約3倍の伝送容量,同じ伝送容量で伝送したなら伝送距離は約3倍になる。今回開発したLSIを4つ並列動作させれば,40Gビット/秒の通信速度まで対応できる。
10Gビット/秒の通信速度でターボ符号を利用すると回路規模が大きくなり,1チップ化するのは難しかったという。今回1チップ化できたのは,信号処理のアルゴリズムと回路設計に工夫を施したためと説明する。同社独自のパイプライン処理を利用するなどして回路規模の増大を抑えたという。LSIの回路規模は1600万ゲートで,製造プロセスは0.13μm。消費電力は約10W。パッケージは1024端子のBGA。外形寸法は40mm角。LSI単体での販売はなく,波長多重伝送用の装置に組み込んで,2006年春の実用化を目指す。