三洋電機は,2005年12月9日に行った記者発表の中で,これまで撤退とのうわさもあったテレビ事業に関して,他社との提携によって今後も継続することを明らかにした(ニュース・リリース1,Tech-On!関連記事)。現在,提携先とは覚書を締結した段階。日本以外の「アジアの世界的な電子機器メーカー」とするのみで,企業名は明かしていない。「電子機器の開発・製造における世界的なリーディングカンパニーであり,強力なサプライチェーンを保有する」この企業と提携することで,従来と異なる新しいビジネス・モデルを構築するという。これまで,三洋電機は他社からPDPなどの部品の供給を受け,中国などの自社工場で全機種のテレビを生産していた。この従来の方式とは異なる方式になると言うに留まった。
今回の提携で三洋電機は,特に薄型テレビのコスト競争力を高め,年間600万台規模で生産してきたCRTテレビから,薄型テレビに本格移行することを目指す。薄型テレビの種類は限定しておらず,PDPテレビからの撤退はないとする。CRTテレビについてもベトナムやインドなど地域によっては需要があるとして製造を全面的に中止するわけではないとしている。
三洋電機は正式契約に至らない段階での発表について,「テレビ事業から撤退するのではないかという不安が社内や流通に広がっていた。モデル・チェンジしている最中であることをアピールしかった」(同社 副社長の前田孝一氏)と説明した。提携先や新しい事業体制の詳細については今年度中に明らかにするとした。
このほか,三洋電機は連結子会社で金融事業を展開していた三洋電機クレジットの株式を米Goldman Sachs Group, Inc.へ譲渡することを明らかにした(ニュース・リリース2)。この譲渡により,三洋電機が保有する三洋電機クレジット株式の出資比率は19.1%となるため,三洋電機クレジットは三洋電機の連結子会社ではなくなる。
譲渡株数は1157万5600株で,自己株式を除く発行済み株式数の33.3%に当たる。譲渡価格は1株当たり2000円である。この価格はここ1週間の平均値程度で,時価相当としている。2005年12月22日に譲渡を予定する。三洋電機はGoldman Sachs Group社による株式の保有期間は恐らく1~2年程度と短いだろうと予測している。