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 JFEスチールはこのほど,オンライン製造による建設機械用超高強度・高靭性ハイテン「JFE-HYD960LE」を開発,サンプル出荷を開始した。同ハイテンは,降伏強さが960MPa以上,引っ張り強さが980MPa以上の厚鋼板で,-40℃でも優れた靭性を発揮する。超高強度鋼ではこれまで,強度と靭性のバランスを確保することが困難だった。同ハイテンは,建設機械分野で求められている部材の高強度化に応える。

 高強度化と高靭性化に成功した最大の要因は,2004年5月に本格稼働した厚板オンラインの熱処理設備「HOP(Heat-treatment On-line Process)」の活用。同設備により初めて可能になった炭化物の微細分散技術を駆使することで,超高強度・高靭性化を果たした。さらに,従来鋼と同等以上の溶接性を備える上,高強度化に伴って懸念される水素脆化に対し優れた耐性を発揮する。

 世界で初めての厚板オンライン熱処理設備,HOPはオンライン加速冷却設備と組み合わせることで,圧延ライン上で冷却と加熱を自由自在かつ連続的に付与できる。その結果,オンラインでの焼き入れ・焼き戻しの連続熱処理が可能になるほか,組織制御の自由度が大幅に向上する。