PR

連載の目次ページはこちら

 和歌山アイコム(本社和歌山県・吉備町)は,無線機メーカーであるアイコムの生産子会社だ。そして,唯一の生産拠点でもある。日本市場向けも海外市場向けも,米国陸軍向けもアマチュア無線愛好家向けも,アイコムの製品はすべて和歌山アイコムで製造している(図1)。


図1●和歌山アイコムの外観(左)と,同社で製造している無線機
和歌山アイコムは,和歌山県・吉備町に位置する。月に9万5000台程度の無線機を製造する。

 和歌山アイコムでは,一見して何の変哲もないコンベヤラインで組み立てや検査をしている(図2)。だが,ラインの見た目は普通でも,その使い方が異彩を放っている。


図2●和歌山アイコムの生産ライン
作業台の奧に小型のコンベヤがある。

 コンベヤラインを使うのは,同社が「タクトタイム」を非常に重視しているからだ。ただし,タクトタイムを重視するといっても,厳守するのではない。いい意味で「守らない」のだ。

8時間分を7時間半で造る

 タクトタイムは,1直の稼働時間を計画生産台数で除した値である。従って,タクトタイムは製品1個を造る周期という意味で,ラインの実力を示している

 タクトタイムはあくまで周期であり,極端な話,すべての工程を2分割して,2倍の人員を投入すれば,タクトタイムは半分になる。だが,それではラインの専有面積も人件費も2倍になる。従って,タクトタイムだけで工場やラインの実力をすべて推し測ることはできない。

 和歌山アイコムでは,1直が8時間。生産計画も8時間稼働するという前提で作成する。タクトタイムを決めるには,この8時間を計画生産台数で割ればよい。だが,同社はそうしない。実際には7時間半で造ろうとする。8時間ではなく7時間半を計画生産台数で割り,その値を実際のタクトタイムとして採用する。これに合わせた速度でコンベヤを動かす。つまり,本来の実力以上のものをライン(の作業者)に求めるのだ。

遅れた理由,それが改善すべき個所