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新社長の古川一夫氏
新社長の古川一夫氏
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 日立製作所は,2006年4月1日に古川一夫氏(59歳)が代表執行役 執行役社長に就くと発表した(ニュース・リリース)。現任の庄山悦彦氏(69歳)は取締役 代表執行役 執行役会長に退く。古川氏は現在,情報・通信グループのグループ長と執行役副社長を務めている。入社以来,一貫して通信システムや情報システム分野の技術開発と事業を担当しており,重電事業に携わったことがない。こうした人物が社長に就任するのは,同社として初めてである。

 記者団との主なやりとりは以下の通り(国内半導体各社による共同ファウンドリ構想についてはこちら)。

問  現在の経営状況をどう見ているのか。
庄山氏  概ね順調だが,ハード・ディスク装置(HDD)と液晶ディスプレイ,薄型テレビの3事業が足を引っ張っている(Tech-On!関連記事)。しかし,3事業はいずれも2006年度下期に黒字化できる見通しがついた。このこともあって若い新社長にバトン・タッチすることにした。
古川新社長  3事業の苦境は急速な価格下落や,開発や生産の遅れによって生じた。こうした問題を今後,解決していく。HDD事業は世界トップ・シェアが目標。フラッシュ・メモリに駆逐されるとは全く思っていない。大容量の記録装置が必要な用途が今後,どんどん増えるからだ。2007年度時点で必要になる生産能力は,中国に建設した工場で確保した。その後については別途,手段を考えたい。液晶ディスプレイ事業については,IPSアルファテクノロジをしっかり立ち上げたい。

問  総合電機という経営形態はもう続かないのではないか。
庄山氏  日立製作所ほどさまざまな事業を手掛けている会社は,世界でほかにない。この経営形態は新しいシナジーを生み出せると考えている。例えばハイブリッド車。当社はモータ,電池,ITS(情報システム)をすべて提供できる。
古川新社長  当社はコングロマリット・ディスカウントと呼ばれる企業価値の割り引きを受けてきた。しかし,これからはコングロマリット・プレミアムを享受できる時代が訪れるのでないか。さまざな事業に関与する情報システム事業をプラットフォーム,あるいはハブとして,当社の企業価値を高めていきたい。
 収益的に苦しんできた部門が貢献することもある。重電事業は,電力会社の投資意欲が旺盛になるなど市場環境が最近良くなっている。この分野で燃料電池が使われるなど,技術革新も進んでいる。重電は当社にとって今後ますます重要になる。

問  庄山社長はM&Aによる事業内容の組み替えに積極的だった。新社長はどう考えているのか。
古川新社長  当社の基本理念は自主技術・製品を通じて社会に貢献すること。M&Aや事業提携には聖域を設けずに取り組んでいく。

問  なぜ今社長を交代するのか。8年~10年という慣例から考えると,庄山氏の任期は7年と短い。さらになぜ古川氏を後継として推薦したのか。
庄山氏  ハッキリとした社内規定があるわけでないが,年齢の問題など考慮して社長を退くことにした(広報担当者によると,あくまで目安だが上限は70歳と定められている)。古川氏を推薦したのは,やる気や,海外勤務の経験などいろいろな面から考えた結果だ。

問  庄山社長は今後どのように日立の経営に携わるのか。英文の肩書はCEOとなっている。
庄山氏  肩書はCEOだが,日立製作所のことは古川氏に任せる。私は会長として1100社を超えるグループ会社全体をみていく。年間の連結営業利益が4000億円という目標に達するまで会長を続けたい。