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講演する塚本泰隆氏 日経マイクロデバイスが撮影。
講演する塚本泰隆氏 日経マイクロデバイスが撮影。
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Cynthesizer導入時のツール整備状況 リコーのデータ。
Cynthesizer導入時のツール整備状況 リコーのデータ。
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最近のツール整備状況 リコーのデータ。
最近のツール整備状況 リコーのデータ。
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動作合成事例 2004年はJPEGエンコーダの一部を動作合成した(下)。2005年は全体の動作合成を試みた。リコーのデータ。
動作合成事例 2004年はJPEGエンコーダの一部を動作合成した(下)。2005年は全体の動作合成を試みた。リコーのデータ。
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 リコーは,市販の動作合成ツールの利用を前提にしたSystemC設計環境の成熟度に関して,実経験を基に講演した。発表したのは,リコーの塚本泰隆氏(電子デバイスカンパニー画像LSI開発センター 設計技術室 主席係長)である。

 同講演は2005年12月15日に都内でサミット・デザイン・ジャパンが催した「Summit Design SystemCモデリングセミナー」で行われた。塚本氏はまず,同社における動作合成ツールの導入経過を述べた。同社が現在利用中の動作合成ツールは米Forte Design Systems, Inc.の「Cynthesizer」である。2003年に評価を開始し,2004年にはいくつかの画像処理アルゴリズムに適用してみた。2005年にはJPEGエンコーダ全体(60万ゲート規模)の動作合成に成功した。そして現在,EDA部門からLSI設計部門に技術移管を進めている。

 ただし,その道は平坦ではなかった。SystemC設計というと,動作合成ツールに注目が集まりがちだが,それだけでは実際のLSI設計への適用は難しい。今回の講演で塚本氏が見せた,スライドがそれを端的に説明している。リコーがCynthesizerの評価を始めたときには,課題のオンパレードだった。具体的には,論理合成を前提にしたRTL設計では当たり前のリント・ツールやデバガ,コード・カバレッジ・ツールがなかったり,サイクル・アキュレートなモデルの生成手段がないなど,「ないないづくし」である。

 現在,そのうちのいくつかは解決した。例えば,今回のセミナー主催者の米国本社である米Summit Design, Inc.の「Vista」を導入することで,「デバガがない」という状況は解決した。「Vistaに不満がないわけではないが,現在市場にある中では,最も良いSystemCデバガ」(塚本氏)。同氏は既存のMakefileがそのまま使えるため,Vistaは導入が非常に簡単だと述べた。

 また,サイクル・アキュレートなモデルについては,米Tenison Technology EDA Ltd.の「VTOC」を使うことで,生成できるようになった(Tech-On!関連記事)。Cynthesizerについては,(1)複数のモジュール(SC_MODULE)に分割した際の処理が容易になったことで大規模回路の動作合成が可能になった,(2)合成結果のRTLコードのリント・エラーが減った,などの改善があったという。

 このいくつかの改善があった設計環境で,JPEGエンコーダ全体(60万ゲート規模)を動作合成した。ストール可能なパイプラインを動作合成するなどのチャレンジ込みで,入社2年目のエンジニアが5カ月間で設計終えた。なお,このエンジニアは,入社1年目のときに,3週間で画像データ変換部をCynthesizerで動作合成した経験を持っている。

 残る課題としては,(1)動作合成前後の等価性チェック・ツールの有効性が確認できていないこと,(2)TLM(transaction level modeling)合成機能の登場,(3)動作合成ツールの価格の引き下げなどを,同氏は挙げた。