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表1
表1
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図3
図3
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 DNAやタンパク質を解析するためのバイオ・チップ市場についての連載記事の第2回目である。第1回目では,医療現場で処置するルーチン検査向けに用途が広がると市場拡大が見込めると指摘していた。『NIKKEI MICRODEVICES』と翻訳契約を結んでいるニュースレター「Micronews」(発行元:仏YOLE DEVELOPPEMENT社)である。以下は,Micronewsの翻訳記事である。(三宅 常之=NIKKEI MICRODEVICES)

 マイクロ流体技術は,バイオ・チップ・デバイスがルーチン検査市場のニーズに適合するのに大きな役割を果たすものである。特に,異なる手法の処理段階からなる検査およびその自動化において,検体の統一的な準備・作成を可能にするものである。バイオ・チップによって作業の自動化が容易になり,検出効率も向上するが,現在,ハイブリダイゼーション(本誌注:検査対象となるDNAを,その対となる標本用DNAと結合させること)と,検出に先行する処理はいずれも自動化されていない。

 しかし,このような自動化が実現すれば,再現性と信頼性の向上にもつながる。マイクロ流体技術が,バイオ・チップに応用されることで,マクロの世界とミクロの世界を連携させる上での問題が解決されることになる。マイクロ流体技術の採用によって,ルーチン検査で求められる「プラグ・アンド・プレイ」型のデバイスの開発も促進される。この結果,表1に示すように,マイクロ流体技術は,ルーチン検査に分子生物学的手法を幅広く応用するのに非常に大きな役割を果たすものと考えられる。

 MEMS技術だけでは,バイオ・チップ・デバイスの小型化は成功しない。特に,医療診断ルーチン検査用デバイスの場合,即座に使用可能なデバイスとして採用されるには,最高水準の検査品質を実証しなければならない。そのため,その主たる価値は,その「バイオ・コンテンツ」にあることを理解しなければならない。小型化が付加機能をもたらすものであり,検査を改善するものとしても,検査ツールの鍵となる要素とは,バイオ・コンテンツであることに変わりはない。さらに,バイオ・チップのバリュー・チェーンの中でもバイオ・コンテンツは最も大きな比重を占め,バイオチップ・コスト全体の35%までがコンテンツにかかわるものである。

コスト削減が不可欠


 ルーチン検査には,その応用分野によって5~60ユーロの低価格デバイスが必要とされる。現在もっぱら研究向けに使用されているバイオ・チップ製品はもっと価格が高い。従って,最も重要な課題の1つとして,マイクロ流体技術の応用によってバイオ・チップの機能性を向上させると同時に,バイオ・チップの生産コストを削減することが求められている。

 この分野では,ポリマーのマイクロ流体技術が鍵となる。最適な高分子技術も選択しなければならない。今日のルーチン検査市場のニーズに対応するには,インジェクションと積層化を採用することが最も効果的だと思われる。既に,この方面の開発は始まっている。ルーチン検査用の本格的な製品は2008年に発売されものと期待される。ポリマーのマイクロ流体技術とバイオ・チップ技術の統合化によって新たな成長がもたらされ,図3に示すように,市場は2010年には25億ユーロの規模に達すると予測される。

 このような展開が現実のものとなるには,技術および関連法規の専門知識に精通したプレーヤとターゲット市場を熟知したプレーヤが緊密に連携し,ユーザーのニーズと要望を正しく評価することが必要である。また,革新的な製品が市場に投入されるように,優れた物流ネットワークを確立しなければならない。このような提携関係の例としては,AffymetrixとスイスRocheおよびフランスBioMerieuxの共同研究が挙げられる。この市場は現在も動き続けている。将来の標準製品の座を目指して,ルーチン検査向けの製品開発を立ち上げるには,今が市場参入と競争参加のチャンスである。
(連載終わり)

YOLE Developpement『Micronews』