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ゴムシート型の電波吸収シート
ゴムシート型の電波吸収シート
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 神戸製鋼所と青山学院大学は共同で,従来のフェライト系材料を利用した電波吸収シートよりも低コストで薄型,長寿命な電波吸収シートを開発した。利用する電波吸収材料のコストはフェライト系材料に比べて,数十分の1という。従来のフェライト系材料を使用した電波吸収シートに比べて今回の電波吸収シートの厚さは2mm程度と半分の薄さで「同程度の電波吸収特性を持ち,寿命は約10倍の屋外で30年~40年の使用を可能にした」と説明する。主に5.8GHzを利用するETCシステムに向けており,例えば車両で反射した電波が,料金所の天井で再び反射し,後続の車両が受信するのを防止するために利用する。

廃材を利用して価格を抑える


 鉄鋼製品の製造過程で線材表面に生じる酸化鉄Fe3O4を利用することで,製造コストを抑えている。従来は廃棄物として処理されていたものである。今回の電波吸収材料のコストは「1000円以下/m2と,フェライト系材料の3万円/m2~4万円/m2に比べて非常に安い」という。今回の電波吸収シートの販売価格は1万5000円/m2~2万円/m2以下と,従来のフェライト系材料の半値以下にする予定。
 さらに生産性の高い連続成形で製造して低コスト化している。従来のフェライト系材料でも連続成形を利用すれば製造コストを抑えることができるが,「電波吸収性に異方性が生じていた。今回の電波吸収材料の粉末の形状は扁平形状で電波を吸収しやすく,さらに製造工程に工夫を施し,等方性を持たせ,水平偏波,垂直偏波を共に吸収できるようにした」(同社)。
 吸収する電波の周波数やその量は,電波吸収材料の充填率やシートの厚みを変えることで調節できる。具体的なシート自体の厚さは2mmで,フェライト系材料を用いた電波吸収シートで5mm程度の厚さが必要だったという。
 今回,屋外で30年~40年の使用可能にしたのは,電波吸収材料として酸化物のFe3O4を利用しているためである。今回の材料粒子は厚さ5μm~20μm,長辺が数10μm~100μmである。フェライト系材料の粒子の大きさ0.1μmよりも大きく,同程度の容積で比較した場合に表面積が小さくなるため,吸湿量が減り吸湿による劣化も抑えている。

フェンスやアンテナにも


 今回のゴムシート型の製品以外にも,金属芯線表面に被覆したものをフェンス状にした製品を開発する予定。ETCシステムにおけるレーン間での電波混信を防ぐ用途に向ける。すでに透明型のフェンスが利用されているが,排気ガスなどで黒くなり,視認性が落ちるという欠点があった。今回の材料を作って格子型フェンスを構成する場合,フェンスの格子間隔をETCシステムで利用される電波の波長より短くする必要があり,20mm~30mm程度とする。このほか,衛星通信アンテナへの妨害電波の吸収などに向ける。
 同社はETCシステムだけでなく,DSRCサービスをはじめとするITSシステムなどでも屋外向け電波吸収シートの要求が増えると考えており,その市場規模は2006年で20億円~30億円,2010年では低く見積もって50億円~100億円程度と見込む。2006年から販売予定で,10%~20%のシェアを狙う。製造と販売は同社グループ会社の神鋼建材工業が担当する。