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 大掛かりな設備を必要とする生産ラインほど,省スペース化の重要性は増す。将来増産するかもしれないことを考えれば,敷地を使い切っているよりは,空きスペースがある方が望ましい。増産の予定がなくても,例えば現在外注している仕事を自社に取り込むといったスペースの活用法だってある。ショーワの埼玉工場も,このような理由で省スペース化を課題としていた。

多工程持ちするには,工程間が遠い

 ショーワの埼玉工場では,4輪自動車向けのショックアブソーバを造っている(図1)。


図1●ショーワ埼玉工場の外観(左)と同工場で製造しているショックアブソーバ
埼玉県行田市に位置する。4輪自動車向けショックアブソーバの生産拠点。(画像をクリックすると別ウインドーで拡大表示します)

 ショックアブソーバは,円筒状のボトムチューブ,同チューブ内を動くロッド,ピストンやボトムピースといった焼結部品,スプリングなどから成る。こうした部品を組み付けていくわけだが,かしめや圧入など,機械を使わなければならない工程も多い。ボルトも機械で締める。

 従来,同工場ではベルトコンベヤを使って,ショックアブソーバを造っていた。コンベヤ上には仕掛かり品(基本となるのはボトムチューブ)を立てるための治具を等間隔に設け,これと同じ間隔で機械を配置。ストップ・アンド・ゴーでコンベヤを動かし,必要な場所に作業者を投入するというものだった(図23)。


図2●従来のコンベヤラインの様子
要所に作業者を配置している。


図3●コンベヤラインの上面図
仕掛かり品が加工機の前に来たらコンベヤを止め,加工が終わったら再びコンベヤを動かす。(画像をクリックすると別ウインドーで拡大表示します)

 しかし,このコンベヤラインには欠点があった。一つは,ボトムチューブを立てているので,コンベヤをあまり速く動かせないこと。「コンベヤの加速度が大き過ぎると,ボトムチューブが倒れてしまう」(同社生産本部埼玉工場長の松尾正己氏)。

 加えて,一つひとつの加工機が大掛かりなのでラインが長く,作業者や管理者の移動距離も必然的に多くなる。作業者が多工程持ちするにしても,工程間に距離があるので,効率が低かった。

仕掛かり品が円弧を描く