PR

 米下院の司法委員会Committee on the Judiciaryで,いわゆる「アナログ・ホール」対策に向けた法案「Digital Transition Content Security Act of 2005」が正式に提案された(PDF形式の発表資料)。アナログ・ホールは,たとえ著作権保護されたデジタル・コンテンツであっても,いったんアナログ出力することで,その後デジタル・データに変換すれば著作権保護が施されていない状況になる問題を指す。新しい法案は,2005年11月に同委員会に提案された討議草案に基づいて,映像のアナログ入力を備える機器に「CGMS-A(copy generation management system-analog)」や米VEIL Interactive Technologies社(VEIL社)が開発した電子透かし技術に基づく権利記述マーク「V-RAM(VEIL Rights Assertion Mark)」を検知し,その権利情報を守ることを義務付けるものである。

CGMS-Aが伝わらなくても録画不能に

 CGMS-Aは,コンテンツのコピー制御情報を記述するための信号で,映像信号のVBI(vertical blanking interval)に重畳する。CGMS-Aは既に米CEA(Consumer Electronics Association)が標準規格として定めており,対応するDVDレコーダなどのAV機器が市場に出ている。しかし,アナログ入力を備える機器や映像信号変換器には,CGMS-Aに反応しないものや,VBIを削除したり受け取らなかったりするものがある。

 この問題を避けるため,新法案ではV-RAM技術の利用を提案する。録画機や映像信号変換器のメーカーに対して,CGMS-Aを検知しない場合でも,映像に挿入したV-RAMを検知したら録画できないように設定しておくことを義務付ける。

IBMとThomsonは「有力な手段」と表明

 2005年11月に公開された討議草案は,一部の消費者権利団体や家電メーカーなどから批判を受けた。「詳細を公開していないVEIL社の技術を義務付ける点に疑問がある」,「映像信号のアナログ入力を備える機器すべてを対象とすると医療機器などのさまざまな機器に影響が及んでしまう」,といった理由による。その一方で,米IBM Corp.やフランスThomson社はCGMS-AとV-RAMの組み合わせはアナログ・ホールの問題を解決するための1つの有力な手段であるとする正式な意見書を米下院に提出した。新法案の検討スケジュールは,現時点では未定である。