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「初めて意見が一致したのが,解散の時だったなんて——」(ある国内メーカーの技術者)。米IEEE802委員会の下部組織で,無線技術「UWB」の標準方式策定を進めていたIEEE802.15のTG3a部会は,部会を解散し標準仕様の策定を断念する方針を固めた。

 2006年1月15日から米ハワイで開催中のIEEE会合において,上部組織に解散案を提出する件の投票を行い,約95%の賛成票を得た。今後この解散案をIEEE上部組織が審議を開始し,早ければ2006年夏にも正式な部会解散となる。既にTG3a部会の活動は停止している。2002年初頭から始まったIEEEにおけるUWBの標準方式策定は,約4年の討議を経ながらも結論を出せずに幕を引く形となった。

 当初TG3aでの標準方式策定は,約1年半~2年程度でドラフト仕様が一本化する予定で審議が始まっていた。しかし,米Intel Corp.などが推進するWiMedia(マルチバンドOFDM方式)と,米Freescale Semiconductor Inc.などが中心のDS-UWB方式という2方式の対立が長引き,予想を大きく上回る時間が経過しながらも,ドラフト案の一本化を達成できずにいた。なかでは議長を変更したり,両案を併記する折衷案が登場したりするなど議論終結への努力は続けられたが,メーカー間の意見対立を克服するまでには至らなかった。既にFreescale社はUWB用チップセットを発売済みであり,またWiMedia陣営も「Certified Wireless USB」に向けたチップセットを市場投入する段階に達している。「これ以上標準化の議論をしていても埒が明かない。市場でデファクトを取るほうがよっぽど早い」(ある半導体メーカーの技術者)といった声が多くなってきていることが,解散案の提出につながったもようである。

 今後については,「今は製品化に向けた仕事が山積み。しばらく標準化の議論は止めてマーケット拡大に注力する。市場でデファクトを獲得した後に,改めて再度IEEE標準をとるべく活動するのが良い」(ある半導体メーカーの技術者)といった意見がある一方で,「新たな作業部会を設立して,再度UWBの標準方式策定に挑戦する動きが起こるのでは」(ある部品メーカーの技術者)という見方も出ている。

 なお今回のハワイ会合での解散案への投票結果は,賛成票が71票で94.7%,反対票が4票で5.3%,このほか棄権が10人いたという。