PR
図1 Spansion Japan社は記者発表会で,1GビットのORNAND型フラッシュ・メモリのサンプル品(左下)を使って動画を記録・再生するデモを見せた
図1 Spansion Japan社は記者発表会で,1GビットのORNAND型フラッシュ・メモリのサンプル品(左下)を使って動画を記録・再生するデモを見せた
[画像のクリックで拡大表示]

 NAND型フラッシュ・メモリの置き換えを狙う新型フラッシュ・メモリ「ORNAND」がついに市場に登場する(Tech-On!関連記事)。米Spansion LLCは,容量1GビットのORNANDの量産出荷を2006年3月ころに開始する(図1)ニュース・リリース)。設計ルールは90nmである。当初は米国テキサス州オースティンの主力製造工場「Fab25」で製造するという。

 今回出荷するORNANDの用途は,携帯電話機のデータ格納である。コード格納向けのNOR型フラッシュ・メモリやDRAM,SRAMなどと共にMCP(multi chip package)として,携帯電話機メーカーに販売したい考えだ。

 メモリ・カードや携帯型音楽プレーヤなどに向けた大容量フラッシュ・メモリの市場には参入しない。「この市場でのNAND型フラッシュ・メモリはすでにコモディティ化しているため」(Spansion Japan ワイヤレス事業本部長のHans Wildenberg氏)という。ORNANDの製造コストは「90nmで製造した1GビットのNAND型フラッシュ・メモリと同等」(Wildenberg氏)としている(図2)。現時点では,2Gビット品や4Gビット品といった大容量のNAND型フラッシュ・メモリと比べるとコスト高になるとみられる。

 Spansion社はORNANDの優位点として,ビット誤りがNAND型フラッシュ・メモリより格段に小さくなることと,論理回路の混載が可能であることを挙げた。「誤り訂正向けの回路やソフトウエアを従来よりシンプルにでき,システム全体のコスト削減につながる」(Spansion社)。このほか,NAND型フラッシュ・メモリよりも読み出し速度が高速になることで「従来のコード・シャドウィング・システムと比較して起動時間を半分以下にできる」(Wildenberg氏)という。ただし書き込み速度については,1ビット/セルのNAND型フラッシュ・メモリとほぼ同等か,わずかに遅くなる見込みだ。

 Spansion社がNOR型フラッシュのシェア争いでしのぎを削る米Intel Corp.は,先だってNAND型フラッシュ市場への参入を決めている。ORNANDがNAND型に対してどれほど競争力を持つかが,両社の携帯電話機向け事業の行方を大きく左右しそうである。

2ビット/セル,2007年初頭からは65nmへ移行

 ORNANDは,多結晶Siの浮遊ゲートに電荷を蓄積するNAND型フラッシュと異なり,セル・トランジスタのソース領域とドレイン領域に形成する窒化膜中に電荷を保持する。今回の1Gビット品では,それぞれの領域で保持する電荷量を0と1の2段階に区別することで2ビット/セルに多値化している。

 ORNANDがベースとする「MirrorBit」技術は,セルの平面構造が規則的な格子状であるため微細化しやすいという特徴を持つ。同社は,2006年3月に量産を開始する90nmの1Gビット品に続き,2007年第1四半期には65nmルールを使う2Gビット品のサンプル出荷を開始する計画である。65nm世代でも2ビット/セルの多値セルを導入する見込みという。

512MビットのNOR型も,DRAMはエルピーダと供給提携

 Spansion社はORNANDの発表と合わせ,新製品となる512MビットのNOR型フラッシュ・メモリを発表した。設計ルールは90nm。量産当初の動作周波数は108MHzで,その後133MHzまで引き上げる計画である。2006年半ばに量産出荷を開始し,1GビットのORNANDと組み合わせたMCPも同時期に出荷する。

 なお,同社はORNANDやNOR型フラッシュとMCP化するDRAMについて,エルピーダメモリと供給提携を結んだことを明らかにした。エルピーダが携帯電話機向けDRAMに強みを持つことや,DRAM専業のためSpansionと他の事業分野で競合する恐れがないことなどが決め手になったという。

図2 チップ面積は1GビットのNAND型フラッシュ・メモリと同等という
図2 チップ面積は1GビットのNAND型フラッシュ・メモリと同等という
[画像のクリックで拡大表示]
図3 2006年にはコード格納メモリの容量は1Gビット,データ格納メモリは4Gビットに
図3 2006年にはコード格納メモリの容量は1Gビット,データ格納メモリは4Gビットに
[画像のクリックで拡大表示]
図4 ORNAND型とNOR型とを組み合わせたをMCPを,ハイエンド携帯電話機に向けて出荷する。65nm品の登場は2007年になる見込み
図4 ORNAND型とNOR型とを組み合わせたをMCPを,ハイエンド携帯電話機に向けて出荷する。65nm品の登場は2007年になる見込み
[画像のクリックで拡大表示]