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業績を発表する同社首脳陣。左から2人目が専務取締役の石塚肇氏。
業績を発表する同社首脳陣。左から2人目が専務取締役の石塚肇氏。
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 「プラズマ・ディスプレイ(PDPテレビ)が欧米で好調だった。単価下落も予想したよりも小幅にとどまった」。このところ業績不調に悩まされ続けてきたパイオニアが,来期黒字化という目標に向かって結果を出し始めた。

 同社が発表した2005年第3四半期(2005年10月~12月)の連結決算によると,売上高は2276億6500万円で対前年同期比16.0%増,営業利益は同178.4%増の50億2800万円と好調だった。この売上高は,四半期ベースで過去最高の値という。なお,当期純利益は法人税の増加などもあって14億300万円と対前年同期比21.4%減となっている。

ホームエレの今期は「外高内低」

 すべてのセグメントで,売上高が増えた。例えばPDPテレビやDVDレコーダなどが含まれる「ホームエレクトロニクス」のセグメントは,対前年同期比11.7%増の1149億6600万円,カー・オーディオや自動車用ナビゲーション・システム(カーナビ)が含まれる「カーエレクトロニクス」は同21.7%増の844億300万円,光ディスク関連特許を中心とする「特許関連」では同40.5%増の19億7700万円,FA機器や電子部品などの「その他」も同16.6%の263億1900万円だった。

 ホームエレクトロニクスの好調の主因は,海外での健闘である。例えばPDPテレビ。全体では約30%の増収となったが,国内分を見ると価格下落により減収だった。しかし欧米など海外で高精細タイプが中心に売れ,しかも想定よりも単価下落が小幅だったために全体としては好調に推移したという。「年末商戦という季節要因もあるが,欧米市場全体として大画面の薄型テレビの供給量が足りなかったという印象を受けた。それで単価の下落幅が抑えられた面もある」(同社 専務取締役の石塚肇氏)。DVDレコーダや同プレーヤについても,国内は11.4%減だが海外では21.6%の増収だった。

 ただし依然として,ホームエレクトロニクス事業の赤字は続いている。前年同期の28億2200万円の赤字に比べると,第3四半期は17億3300万円と赤字幅は縮小しているものの,厳しい状況に変わりはない。この赤字幅縮小には,前期に北米向けケーブルテレビ端末の販売から撤退したことも効いているという。

 カーエレクトロニクス事業では,カー・オーディオもカーナビも伸びた。同事業での営業利益は第3四半期に48億円(対前年同期比57.5%増)と,光ディスク関連特許収入と共に利益面で同社の屋台骨を支える構造になっている。今後はBRICsといった発展途上国における事業強化や,海外市場へのHDD内蔵カーナビの投入といった策により,事業基盤をさらに強固にする計画だ。

慎重の上に慎重

 改善が見られた第3四半期だったが,2005年度通期の見通しについては修正しなかった。「第4四半期の業績がどうなるのか,社内でも議論をしているが不確定要素が多すぎる」(石塚氏)。同社は少し前に業績の下方修正を重ねてしまった経緯もあり,第3四半期が思ったより好調だったからといって軽々に上方修正すると,第4四半期の具合でまた下方修正という事態になりかねないという慎重な判断が働いているようだ。

 パイオニアは2005年11月21日に,2006年1月1日付で須藤民彦氏が社長になることを発表し賃金一部カットといった緊急策をとった。続く12月8日には経営再建策を発表,矢継ぎ早に対策を打っている。この事業構造改革については,商品企画から設計・生産までの全般にわたって業務プロセスを見直す作業に取り組んでいるほか,雇用調整の今期中の完了を目指して労働組合と交渉を進めているという。
 併せて,経営再建に向け5つのプロジェクトを立ち上げたという。「新しい企業ビジョンの策定」「コアプロセスを見直して標準化を加速」「PDCA(plan-do-check-act)サイクルを確実に回すような企業風土に改革」「オーディオ事業の再活性化」「連結ベースでの戦略・管理機能の最適配置」である。「例えば風土改革のように時間がかかるものもある。オーディオの再活性化と口では軽く言えても実際には大変だ。しかし,こうしたことに一歩一歩取り組んでいくのが今は大切だと思っている」(石塚氏)。

 なお,2006 International CESの際に「5月に市場投入したい」としていたBlu-ray Discプレーヤ「BDP-HD1」は「6月に北米で売り出す予定」とした。

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