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図1 バクテリオファージ(図中ではCambrios Sensitizer)を使ってCu配線上にCo層を形成する工程
図1 バクテリオファージ(図中ではCambrios Sensitizer)を使ってCu配線上にCo層を形成する工程
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図2 Cu配線の形成例。配線幅は100μm程度
図2 Cu配線の形成例。配線幅は100μm程度
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図3 表面に透明電極を形成したプラスチック基板。透明電極の厚さは100nm程度。
図3 表面に透明電極を形成したプラスチック基板。透明電極の厚さは100nm程度。
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 たんぱく質を利用した製造技術を開発するベンチャー企業の米Cambrios Technology Corp.は,LSIの配線工程や印刷を使ったプリント配線基板の配線工程,液晶パネルの電極製造工程に向けた技術を発表した。いずれも溶液を使っており,リソグラフィ工程や真空装置を使う膜形成工程を省け,製造工程を簡略化できるとする。

 LSIに向けた技術は,Cu配線のエレクトロマイグレーションを抑えるキャップ層(Co)を形成するもの。Cuのみに結合するたんぱく質とCoのみに結合するたんぱく質を備えたバクテリオファージを使い,Cu配線上にCo層を選択的に形成させる。Co微粒子の周囲にこのバクテリオファージに結合させておき,このCo微粒子を分散させた溶液をCu配線形成後のウエハー上にコーティングすれば,Cu配線上にCo微粒子が結合するというわけである(図1)。Cambrios社の実験によれば,Cu配線の周囲にある層間絶縁膜(low-k膜)にはCo微粒子がほとんど結合しなかったという。この方法でCo層を形成したCu配線を評価したところ,Cuのエレクトロマイグレーションを十分に抑えられたとする。

 プリント配線基板に向けた技術は, Cu配線を印刷で形成するというもの。Cu原子を結合させたバクテリオファージを分散させた溶液を使い,スクリーン印刷技術やインクジェット技術などを用いてガラス基板やプラスチック基板にCu配線を印刷する。この方法を使えば,Cu配線を室温で形成できるという。Cambrios社はプラスチック基板上に配線幅100μm程度のCu配線を形成することに成功した(図2)。配線幅や幅の精度については,印刷技術に依存しているとする。

 液晶パネルに向けた技術は,透明電極を印刷で形成するというものである。液晶パネルの透明電極として使っている真空技術で形成したITO膜の置き換えを狙う。金属材料を結合させたバクテリオファージを用いる。プラスチック基板上にこのバクテリオファージを使って室温下で厚さ100nm程度の透明電極を形成したところ,シート抵抗50Ω/□,プラスチック基板を含めた透過率70%を得た(図3)。ガラス基板上にこのバクテリオファージを印刷し,300℃で熱処理したときには透過率が87%程度に高まる。今後,バクテリオファージや金属,透明電極の製造工程を見直し,シート抵抗の低減と透過率の向上を狙っていく考え。バクテリオファージに結合させた金属材料の詳細は未公表だが,金属材料にはInを含んでいないとする。