PR
図1◎「Fine γ」と一般の炭素鋼の組織状況。aは,ガンマRエッチングにより旧オーステナイト(γ)結晶粒を現出させたもの。平均粒径は,2〜3μm。 cは,従来のエッチングでFine γの旧オーステナイト(γ)結晶粒を現出させたもの。微細粒は見られない
図1◎「Fine γ」と一般の炭素鋼の組織状況。aは,ガンマRエッチングにより旧オーステナイト(γ)結晶粒を現出させたもの。平均粒径は,2〜3μm。 cは,従来のエッチングでFine γの旧オーステナイト(γ)結晶粒を現出させたもの。微細粒は見られない
[画像のクリックで拡大表示]
図2◎硬さと疲労強度の関係
図2◎硬さと疲労強度の関係
[画像のクリックで拡大表示]
図3◎結晶粒径と強度の関係
図3◎結晶粒径と強度の関係
[画像のクリックで拡大表示]
図4◎従来の微細化技術で得られる組織
図4◎従来の微細化技術で得られる組織
[画像のクリックで拡大表示]
図5◎「Fine γ」の組織
図5◎「Fine γ」の組織
[画像のクリックで拡大表示]

 JFEスチールは,鋼の結晶組織の粒径が2~3μmの高強度棒鋼「Fine γ」を開発した。粒径が20μm程度であるJIS S53Cと比べて,疲労強度が15~30%高い。同社は,新たに成分設計をし,プロセスを開発することで,微細なオーステナイト結晶粒を安定的に生成できる技術を確立(図1)。この技術をFine γに利用した。

 鋼材の疲労強度は硬さに比例して向上するが,鋼材の結晶粒界で破壊が起き始めるとその伸びが止まる(図2)。この粒界破壊を防ぐには,オーステナイト結晶粒の微細化によって結晶粒界強度を高めるのが有効だ(図3)。これは,粒界への応力集中を緩和し,粒界破壊応力が高まるため。しかし従来の方法では,安定的に粒径を小さくするのが難しかった。

 従来は,フェライト組織の微細化することで鋼材の強度を高めていた(図4)。この方法で得られる鋼板の強度は,800MPa程度。それに対してFine γは,焼き入れ時にオーステナイト結晶粒を細かくする(図5)。常温ではマルテンサイト組織に変化するが,高温時に形成するとオーステナイト結晶粒は微細状態を維持し,強度は2500MPaまで向上する。

 Fine γを使うことで,自動車のクランクシャフトや等速ジョイント,ミッションシャフトといった動力伝達部品を小型化できる。JFEスチールの試算では,1台当たり約45kgの軽量化が実現できる上,二酸化炭素の排出量も減らせる。