PR

電通国際情報サービス 製造システム事業部
CAE技術部 岩田智行
ソリューション企画部 伊藤宗寿

 佐藤さんは,人的リソースが不足しているところまで考えてみて,思った。
 (人的リソースが仮に満足されたとして,本当にそれでうまくいくのだろうか?
 今日,千葉さんに確認したように(第2回),過去に類似した解析があることが分かっていれば,もっと効率的だろうに…。)
 そこで佐藤さんは,人的リソースの不足に続き,過去事例の活用について課題を掘り下げてみることにした。

 前回の連載では,架空の解析担当者である佐藤さんの視点から,設計現場の日常に潜む解析業務の課題として,人的リソースの不足について考えてみた。今回は,さらにこれを進め,「過去の事例が生かされていない」「解析の位置付けがあいまい」という問題の原因について掘り下げてみよう。

過去事例が生かされていない

 既に解析済みの事例を次の解析時に生かしきれないという問題には,大きくは以下の三つのパターンがある(図1)。


図1 「過去の事例が生かされていない」という要因を展開した例

 第1は「そもそも事例がどこかに残っているのか分からない」というパターンである。解析の実施後は解析報告書だけを設計にフィードバックすることも多く,解析結果や詳細内容は残っていないという例は珍しくない。また,後日解析を確認したいときには,解析結果だけではなく,「どのような条件設定で解析したのか」「途中でどのような試行錯誤があったのか」といったことも知りたい。にもかかわらず,それらのデータは解析担当者の手元に残っていれば運がいい,などということが少なからずある。

 第2は「事例を蓄積しにくい」というパターンだ。仮に担当者が過去事例のファイルを持っていても,それを効率よくためて共有できる仕組みがないと,結局は時間と共に散逸してしまう。単に,ファイルサーバなどを用意しても,それが業務上のルールになっていないと「手間がかかる,忙しい」などの理由で,蓄積されないことも多い。

 第3は「事後利用がしにくい」というパターンである。事例がいくらファイルサーバなどに蓄積されていたとしても,ファイル名が分かりにくい,欲しい情報にたどり着けない,となると活用までは結び付かない。さらに,活用されていないと認識されてしまうことによって,ためる動機が薄くなり,さらにたまらない,という悪循環に陥る。

 過去の解析事例を活用するためには,ためる仕組みももちろんだが,活用しやすくするにはどうすればいいのか,ということまでセットで考慮しておく必要があるのだ。

 佐藤さんは,ここまで考えるうちに,自宅アパートに到着した。夕食を食べ,帰りに買った発泡酒を一杯やりながら,清水課長と石井課長のやりとりを思い出した(第3回)。
 (結局のところ,人的リソースを補強したり,蓄積する仕組みを作ったりしても,もっと根本的なところで解決しなければならないことがあるんじゃないか? )
 気が付くと佐藤さんは,設計プロセスにおける解析の位置付けについて,あれこれと考え始めていた。

解析の位置付けがあいまい

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

日経クロステック登録会員になると…

新着が分かるメールマガジンが届く
キーワード登録、連載フォローが便利

さらに、有料会員に申し込むとすべての記事が読み放題に!
日経電子版セット今なら2カ月無料