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 サンケン電気は,車載機器向けに定格電流60Aと大きな半導体リレーを発売した(関連記事)。この製品は自動車の電子化を下支えすると,自信を見せる。今回の半導体リレーを開発した意図や車載機器への効果,今後の予定などを聞いた。(聞き手=日経エレクトロニクス 大久保 聡)

——今回の半導体リレーは,車載機器にどのような効果をもたらすのか。

サンケン電気 自動車の電子化が進んでおり,電子機器の増加とそれに伴う小型化への要求が強まっている。半導体リレーを使うことで,電子機器の小型化につながる。車載機器は必ずと言って良いほどリレーを保護機能として使う。車載機器に機械式リレーや半導体リレーを用いているが,ヘッドランプやテールランプ,ワイパー,エアコンのファンといった負荷電流が大きな機器には機械式リレーを使うことがほとんどである。従来,半導体リレーの定格電流は大きくても30A~40A程度だった。これではヘッドランプやワイパー,ファンなどには対応できなかった。

 半導体リレーを使うことで,リレーを電子制御ユニット(ECU)の中に実装できる。小型だからだ。厚さはたった3.7mmしかない。しかし,高さが20mm~30mmもある40A~60A対応の機械式リレーはECUの中に入らず,エンジン・ルームに設置するヒューズ・ボックスの下面にズラリと並べるしかない。必然的に,ヒューズ・ボックス全体が大きくなっていた。大電力が必要な車載機器が今後も増え続けることを考えると,ヒューズ・ボックスの下面に実装する機械式リレーはさらに多くなってしまう。定格電流60Aの半導体リレーがあれば,ヒューズ・ボックス内の機械式リレーを一掃できる。

 さらに,雑音の発生や素子の短寿命といった機械式リレーの問題も省ける。機械式リレーではオン/オフの切り替え時に出力がばたつき,瞬間的にオン/オフを繰り返してしまう現象,いわゆるチャタリングが発生する。これに起因して放射雑音が生じるので,車載マイコンの動作に悪影響を与えかねない。半導体リレーはチャタリングが発生しないので,この問題を回避できる。また,素子寿命は機械式リレーよりも長く,故障による交換の必要がない。この点からもECU内に実装できる利点がある。

——どのような技術を使って定格電流60Aを達成したのか。

サンケン電気 今回の半導体リレーは,パワーMOSFETと制御用ICの2チップを1パッケージに収めている。当社は電源回路向けに出力の大きなパワーMOSFETを手掛けており,100Aを流せるパワーMOSFETの技術は持っている。この技術を流用して半導体リレーを設計した。
 ただし,パッケージにチップを収めるところには工夫を凝らした。複数のリード線をパワーMOSFETに接続して電流経路を稼ぐという手法が手っ取り早いのだが,今回はパワーMOSFETに接続するワイヤやリード線を太くすることで対応した。複数のリード線を使うとインピーダンスのバランスが崩れ,サージ電流が発生してしまう可能性があるからだ。

——今後の予定を知りたい。

サンケン電気 今回,まずは車載機器に使うリレーの中で定格電流が大きい品種を狙って60A品を出した。定格電流が小さい品種の方が製造は容易なので,近いうちに5A~60Aまでの品種をそろえる予定である。

 電気自動車やハイブリッド車に使う電源回路などに向け,100Aや300Aといった定格電流が大きな品種も開発していく考えである。実現するにはもっと出力の高いパワーMOSFETが必要になるが,メドはつけている。今回の半導体リレーに使うパワーMOSFETは横型のトランジスタ構造を採用するが,当社が電源回路に採用している定格電流100AのパワーMOSFETはより多くの電流を流せるトレンチ型のトランジスタ構造を用いている。このトレンチ型トランジスタ構造のパワーMOSFETを半導体リレーに使えば,100Aを上回る定格電流を得られる。