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図1 開発した有機ELパネル
図1 開発した有機ELパネル
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図2 有機発光トランジスタの構造
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 ロームとパイオニア,三菱化学は共同で,有機発光トランジスタを用いた8画素×8画素のアクティブ・マトリクス型有機ELパネルを開発した(図1)。最大輝度は1000cd/m2。外部量子効率は約0.8%という。フレキシブル・ディスプレイとしての用途を想定する。今回のパネルは,京都大学とNTT,日立製作所,三菱化学,パイオニア,ロームが推進する次世代エレクトロニクス技術の研究開発に関する「包括的産学融合アライアンス」の研究成果である。発光材料には,同アライアンスと連携する千歳科学技術大学 教授の安達千波矢氏が開発したものを用いた。なお,今回のパネルは,2006年2月21日から東京ビッグサイトで開催される「nano tech 2006」にて展示予定である。

 パネルに集積したトランジスタは,発光用の有機トランジスタとスイッチング用の有機トランジスタの2種類。発光用の有機トランジスタは,有機半導体であり通電することで発光するテトラフェニルピレン(TPPy)をチャネル層に使ったFET構造を採用する(図2)。ゲート電極を制御することでソースから正孔,ドレインから電子をそれぞれチャネルに注入し,TPPy層内で正孔と電子を再結合させる。こうすることで,チャネル層にて発光する。発光量はゲートに印加する電圧で調整できる。

 今回,高い発光効率を得るために,TPPy層の形成条件を工夫した。具体的には,TPPy層を形成する前に,同層の下地になるゲート絶縁膜表面を改質する。これにより,TPPy層の形成時にTPPy分子の配向をそろえられるようになった。さらに,ゲート絶縁膜の下地となるゲート電極の表面を平坦化し,TPPy層で発生した光を効率よくパネル外側に向かって反射できるようにした。この工夫によって,光をパネル外に取り出す効率が上がったとする。TPPyは千歳科学技術大学の安達氏が開発した有機半導体材料である。有機発光トランジスタに関しては,2005年1月25日に開発したことを発表済み(Tech-On!関連記事)。このときは最大輝度が300cd/m2だった。

 スイッチング用の有機トランジスタでは,チャネル層に使う有機半導体材料としてペンタセンを採用した。ペンタセンは比較的キャリヤ移動度が高い有機半導体として知られており,アモルファスSi並みのキャリヤ移動度を得られる。