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各種機器の光配線に対する要望
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京都工芸繊維大学の裏氏の研究
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 光技術に関するシンポジウム「アクセス系・情報家電に求められる次世代光技術」が2006年2月22日に東京で開催された。技術者の関心は高く,予想を上回る聴講希望者が来場し,予定人数の約1.7倍の人々がつめかけたという。シンポジウムでは,「次世代情報家電製品に求められる光学素子」と題し,松下電器産業 AVCデバイス開発センター デバイス第一開発グループ 主幹技師の田中 康弘氏が,「次世代情報家電用光インターコネクション」と題し,京都工芸繊維大学 工芸学部電子情報工学科 教授の裏 升吾氏などが講演した。

光関連技術がデジタル家電へと広がる

 
 田中氏は,デジタル家電へと広がり続ける光技術や,レンズ技術の動向などについて講演した。従来,光学系部品を取り扱っていたのは主に銀塩カメラや双眼鏡,顕微鏡メーカーなどだったが,現在,デジタル家電において光学関連技術は欠かせないものとなっているという。
 例えば,デジタル・カメラのレンズ・ユニットや光ディスク装置の光ピックアップの光学系,プロジェクタや液晶テレビのバックライトなどである。特に光ディスク装置の生産台数は2005年時点で約6億台とデジタル・カメラの10倍ほどあり,大きな市場であるとした。

レンズ技術はここ20年で大きく変わる


 この講演ではレンズ技術に触れ,ここ20年で従来の研磨技術に加え,金型を利用したレンズの成形方法や,半導体の製造プロセスを利用したものが新たに出てきたという。金型を利用した方法は,樹脂やガラス,ガラス表面に樹脂層を形成したレンズなどに利用され,半導体製造プロセスを応用した方法は微小レンズ・アレイに利用される。現在,レンズの中でもっとも数出ているのが,色収差補正に利用する回折格子を表面に設けた非球面レンズだとした。

デジタル家電に比べ,白物家電は価格が安定


 田中氏によれば,掃除機や冷蔵庫,炊飯器は価格が安定しているにもかかわらず,デジタル家電は年25%~30%のペースで価格が下落しているという。例として,VHS方式の据え置き型VTRとDVDレコーダを比較した。発売当時はいずれも価格が25万円程度だったが,価格が10万円を切るのにVTRは約9年かかったのに対し,DVDレコーダでは約3年で10万円以下になったという。デジタル機器は性能差を出しにくい,機能を追加しても見合った価格にならない,部品を集めれば簡単に作れることなどが原因とした。

光配線は適材適所


 裏氏は,機器内の光配線などについて講演した。電気配線と比較した場合の光配線の特徴として,高速伝送,低雑音,低損失,軽量,可塑性の高さなどを挙げた。機器によって,着目する光配線の利点は異なるという。例えば携帯機器では,軽量,可塑性の高さ,ホーム・サーバやゲーム機などでは高速な伝送速度,車載向けでは低雑音という点だという。ロボットでは,ロボットに搭載された各センサからの膨大なデータを高速に処理する必要があるため,高速伝送とした。

 裏氏は光波長多重方式によって,空間光を伝送するアド・ドロップ素子の研究している。発振波長の異なる複数個のVCSELからの出射光を導波路内に伝送させ,回折格子状にした素子により波長ごとに光を分岐させて各波長の光を受光素子で受光する方式。VCSELから伝送する素子までと伝送する素子から受光素子までの光は空間に出射される。現在2波長の光で実験をしており,試作した素子による光の挿入損失は19dB。実用化には挿入損失を5dB~6dBまで抑える必要があるとした。