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 次世代車載LAN規格「FlexRay」がいよいよ実用化する。ドイツBMW社が2006年末にも世界で初めて導入するほか、ドイツAudi社や米GM社も興味を示している。FlexRayは、現行のCANよりも、高速で信頼性も高めることができるのが特徴だ。日本の自動車メーカーは、FlexRayをどうとらえているのか━━。トヨタ自動車や日産自動車、ホンダが加盟する車載ソフトウエアの標準化団体である「JasPar」運営委員長の安達和孝氏に聞いた。

日本でもFlexRayは必要か

 クルマの急速な電子制御化にFlexRayの導入は欠かせない。データを送受信するECU(電子制御ユニット)の増加で、これまでのCANのネットワークが基幹ネットワークとして位置付けを強めている。このため現行のCAN(Controller Area Network)で接続するには、通信速度と信頼性の面で限界が見えてきた。CANは現在でも、エンジンやサスペンションなど車両の基幹システムで用いられている。最近ではハイブリッド化によるモータやバッテリの導入、そしてセーフティシステムの強化で車載カメラやレーダもCANで接続するなど、CANへの依存度が予想以上に高まっている。CANに置き換わる新しいネットワークを望む声が高まっていた。

FlexRayのメリットは

 現行のCANよりも通信速度は10倍速く、信頼性も高まる。CANの通信速度は1Mbpsだったが10Mbpsに高まり、通信方式は送信権の早いものが優先されていた「イベントトリガ」から周期的に送信権が割り当てられる「タイムトリガ」になる。CANでは、頻繁に送信するECUがあると、その一方でいつまでたってもデータを送信できないECUが生まれることになり、データの送受信が正常に行われないケースもあった。FlexRayでは、決められたタイミングで必ず送受信が完了するので、車両制御などクリティカルなアプリケーションでの信頼性を向上できる。さらに、ECU間のネットワークも二重化できるので、片方のネットワークに障害が発生して、他方のネットワークを使ってデータの送受信できるなど高い信頼性を備える。

FlexRayは、欧州主導で決められている

 FlexRayコンソーシアムのコアメンバーは、BMW社やVolkswagen社、DaimlerChrysler社など欧州自動車メーカーが中心だ。日本の自動車メーカーもコンソーシアムに参画しているが、コアメンバーではないので仕様の策定には制限がある。日本のメーカーが個別にコンソーシアムに要望を出すのは影響力が弱いので、JasParの団体として意見をまとめて、コンソーシアムと話し合うことにした。

JasParとしてどのような要望を出しているのか

 BMW社を中心として欧州メーカーが重視しているのは、10Mbpsの高速通信を用いた新しいシステムの導入だ。しかし、現状では接続できるECUの数に制限が生じてしまう。JasParとしては、CANのシステムの置き換えとしてFlexRayを導入することを重視しているので「現行車種のシステム構成のままFlexRayに置き換えることが問題なくできるようして欲しい」と要望を伝えている。現行車種では接続するECUが数十個と多いため、通信速度は10Mbpsよりも低く設定されることになるが、それでもCANよりは高速なほか、通信方式としてタイムトリガやネットワークの二重化なども利用可能になるなどメリットは大きい。

JasParとして考えている通信速度は?

 5Mbpsと2.5Mbpsだ。CANの通信速度は1Mbpsだがノイズを考慮することで実際は500kbpsで使われている。5Mbpsでは10倍、2.5Mbpsでも5倍の高速性が得られる。

欧州のコンソーシアムとの話し合いはどうなっている

 BMW社が実用化すると、そこでの開発手法がデファクトになりかねない。できるだけ早い段階で、JasParとしての考えを取り入れてもらうよう努力する。例えば、開発ツールは、日本のやり方にそぐわないもので実用化されると日本では個別に用意しないといけないなど、標準化の意味が薄れる。欧州は新しいアプリケーションを導入するためにFlexRayを入れようとしているが、日本は既存のシステムをできるだけ活用しようとしている。両者にとってメリットのあるものにつくり上げていきたい。

詳細は、3月30日発売のAutomotive Technology春号に掲載しています。