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 米Apple Computer, Inc.は,ユーザーが「iPod」の音量を制限できるようにするファームウエアの更新版を公開した(発表資料)。対象は,iPod nanoと,2005年10月に発表した第5世代のiPod(Tech-On!関連記事)。Apple社によれば,このファームウェアを使うとユーザーは自分の好みに合わせて,簡単に音量制限の設定ができるという。ユーザーが子供の場合は,両親が音量制限を設定して変更できないようにロックを掛けられる。

 米国では,iPodがユーザーの聴力を損ねるという主張が,マスコミで話題になっている。iPodに付属するイヤホンは直接耳に差し込んで使う形式で,比較的に高い音量で音楽を聞き続けた場合に,ユーザーの聴力に影響する恐れがあるという。今回のファームウエアの更新は,こうした主張に対処するためとみられる。ただし,iPodが聴力を損ねると主張する集団訴訟を担当している米国の弁護士事務所Hagens Berman Sobol Shapiro LLPは,今回の発表をApple社がiPodの問題点を認めたものと見なし,訴訟の原因の解決にはならないと発表した。「残念ながら,今回の更新はiPodの古いモデルを持つ何百万人には役に立たない。こうした小手先の回避策は,消費者が求める解決策とはいえない」(Hagens Berman Sobol Shapiro社,Managing PartnerのSteve Berman氏)。

 Hagens Berman Sobol Shapiro社はiPodユーザーを代表し,2006年1月31日に米連邦政府サンノゼ地方裁判所にApple社を相手取った集団訴訟を起こした。同社は,人間が85dBの音声を8時間連続して聴くと,聴力を損ねる恐れがあると主張する。もっと大きい音の場合は,聴力を損ねるまでの時間はさらに短くなるという。iPodが出力可能な最大値である115dBの音声の場合,28秒で聴力に障害をもたらすとする。この訴訟では,Apple社が全てのiPodの音量を100dBまでに限るようにファームウエアを更新するか,音量を制限する周辺機器やヘッドホンを提供することを求めている。iPod自体や製品のパッケージに注意書きを加える,iPodのユーザーに聴力に関する教育材料を提供する,といった要求もある。