PR
4/1朝まで
どなたでも有料記事が読み放題「無料開放デー」開催中!
図1◎電動バイクの後輪に組み込んだ新型SRモータ「SUMOモータ」
図1◎電動バイクの後輪に組み込んだ新型SRモータ「SUMOモータ」
[画像のクリックで拡大表示]
図2◎ステータ突極部の構造 磁束をムダなく使うことで吸引力を高め,トルクを大きくする。
図2◎ステータ突極部の構造 磁束をムダなく使うことで吸引力を高め,トルクを大きくする。
[画像のクリックで拡大表示]

 モータの研究開発や製造を手掛けるゲネシス(本社東京)は,希土類磁石を併用することでトルクを大きくしたSRモータ「SUMOモータ」を開発,電動モータなどを開発するアクスル(本社東京)の電動バイク「EV-X7」に搭載したと発表した(図1)。電流を流すことで誘起される磁束に希土類磁石による磁束が加わることで,リラクタンストルクと磁石トルクが作用し,その結果,トルクが従来のSRモータよりも増大する。

 新しいモータはアウタロータ構造。電動バイクにはホイール・イン・モータとして組み込んだ。そのため,アウタロータがホイールとして回転する。

 モータの内側にくるステータは4極・5相構造。つまり,4個の突極を持ち,ある程度厚みのある「十字」形状のステータユニットを,厚さ方向に5個重ねてステータを構成した。ただし,ステータユニットは突極をそろえて重ねるのではなく,18°ずつずらしながら(スキューしながら)積層させている。一方,このステータの外側にくるアウタロータも4極で,時計の0時,3時,6時,9時の位置に突極を配した構造となっている。

 トルクが増大し,効率が高まる秘密はステータの突極部にある。「口」の字形のヨークの一辺(下の辺)にコイルを巻き,その対向する辺(上の辺)の中央に希土類磁石を挿入した(図2)。挿入した磁石はネオジム・鉄・ボロン系焼結磁石で,最大磁気エネルギ積が318kJ/m3(40MGOe)。この磁石を挿入した辺と狭いギャップ(すき間)を介してアウタロータを構成するヨークが配置される。

 このステータに外部から電流を流すと,まず電磁石による磁束がアウタロータ側のヨークに流れ,この磁束の向きに沿ってネオジム・鉄・ボロン系焼結磁石の磁束もアウタロータ側のヨークを流れるようになる。さらに,電流を流していない時にネオジム・鉄・ボロン系焼結磁石の磁束のうち,ヨークの中を流れていない漏れ磁束もこのアウタロータ側のヨークを流れるように変化する。ゲネシスはこうした磁束をムダなく使う仕組みを「ハイブリッド電磁石現象」と呼んでいる。なお,ヨークは積層したケイ素鋼板で構成されている。

 こうした仕組みにより,新しいモータではステータの突極がアウタロータを吸引する力は,従来のSRモータの「3倍」(ゲネシス)となり,トルクも同じく3倍になるという。

 従来のSRモータは振動や騒音が大きいことが課題だった。これに対し,新しいSRモータは先のステータユニットの積層方法に加えて,電流を流すスイッチのタイミングの最適化により,振動や騒音の原因となるトルクリップルを抑えることでこれらを改善した。

 電動バイクに搭載した新しいモータの最高出力は2.13kWで,最大トルクは164N・m。最高効率は80%。