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図1◎超硬金型の磨き作業を軽減するワイヤ放電加工機
図1◎超硬金型の磨き作業を軽減するワイヤ放電加工機
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図2◎超硬金型の表面の腐食を防ぐシステム「AquaSurface」の仕組み 超硬金型のバインダ成分であるコバルトが加工液である水に溶け出さないようにイオンバランスを制御する
図2◎超硬金型の表面の腐食を防ぐシステム「AquaSurface」の仕組み 超硬金型のバインダ成分であるコバルトが加工液である水に溶け出さないようにイオンバランスを制御する
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図3◎チップコンデンサの成形用の超硬金型
図3◎チップコンデンサの成形用の超硬金型
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 三菱電機は,超硬金型の生産効率に優れるワイヤ放電加工機「PA05S AquaSurface仕様」を開発,2006年4月12日から「インテックス大阪」で開催された金型加工に関する技術展「INTERMOLD2006」に出展した(図1)。加工液に溶け込むイオンのバランスを調整することで,放電加工時における超硬金型の表面の腐食を抑制。超硬金型の表面品位(面品位)を高め,後加工である磨き工程の手間を軽くしてコストを削減する。

 このワイヤ放電加工機は,現行の機種である「PA05S」に,同社が高品位超硬加工システムと呼ぶ「AquaSurface(アクアサーフェイス)」をオプション機能として付けたもの。このAquaSurfaceが,放電加工時における超硬金型の表面の腐食を防ぐ。

 通常,ワイヤ放電加工の加工液には水を使う。ところが,超硬合金の放電加工時に水を使用した場合,超硬合金の表面が腐食しやすくなる。超硬金型はタングステンカーバイト(WC)の粒子をコバルト(Co)のバインダで接着させた構造となっており,以下に示す化学式の通り,このCoはコバルトイオン(Co2+)として水に溶けやすい性質を持つ。

Co ─→ Co2+ + 2e−(WC-Co中の選択腐食)・・・・・・・・・・・・・・(1)
1/2O2 + H2O + 2e− ─→ 2OH−(溶存酸素の還元)・・・・・・・・(2)
Co + 1/2O2 + H2O ─→ CO2+ + 2OH−((1)と(2)の総反応)

 つまり,表面部分のCoが水に溶解することで超硬合金はバインダ成分を失い,表面が荒くなる。この表面の荒くなった部分を腐食と呼ぶ。

 AquaSurfaceでは,バインダ成分であるCoが超硬合金から溶出しないように,水の中のイオンバランスを制御する(図2)。そのために,加工液の循環経路の一部に「AquaSurface樹脂」を組み込んだ。

 加工槽で使用された水は汚液槽に流れ,これがポンプにより浄化フィルタを介して清液槽に移動する。ここでイオンバランスがCoの溶出を促す状態か否かをセンサ「イオン制御センサ」で判断。Coを溶出するイオンバランスになっていた場合は,AquaSurface樹脂の中を通るように水を流し,Coが溶出しないイオンバランスに変えた上で,再び水を加工槽側に流す仕組み。

 こうした仕組みにより,新しい放電加工機では超硬金型の表面の腐食を防ぎ,後加工として必要なラッピングなどの磨き工程の作業を軽減できる。また,Coの溶出を防ぐために加工液として油を使った従来の方法よりも放電加工時間が短いという利点もある。

 三菱電機はワークのサンプルとして,チップコンデンサを成形する超硬金型も展示した(図3)。表面荒さはRz0.5μm,Ra0.07μm。加工精度は±2μm,加工時間は62時間となっている。

 AquaSurfaceのオプション価格は130万円。